2022.07.19
土地や建物などの不動産を所有しているとかかる税金、それが固定資産税です。 固定資産税は土地や建物だけではなく事業などに使用する償却資産にも課せられるなど、覚えておきたい税金の1つ。 特に、これから不動産を取得しようと考えている方は、どれくらいの固定資産税が必要となるのかを把握しておかなくてはなりません。 今回の記事では、固定資産税がいくらになるのか、その計算方法をわかりやすく解説します。 固定資産税の決定方法だけではなく、納税方法や節税方法についても説明するので「固定資産税がどれくらいかかるのか自分で計算したい」という方や「固定資産税による経済的負担を軽減したい」という方は、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。 この記事を読めば、固定資産税を恐れることもなくなります。 ただし、延滞するとリスクもあるので、固定資産税について正しく理解して予防対策を練りましょう。 固定資産税とは 固定資産税とはその名の通り、固定資産に対して課せられる税金の一種です。 たとえば、家を取得する際は土地を購入して建物を建築することになります。 土地や建物は原則として動かない資産と判断されるため、固定資産税の対象となります。 各市区町村ではそれら不動産を所有する方に対して、税金を徴収しているわけです。 なお、固定資産税は事業などで使用される償却資産にも課せられるのが特徴となっています。 償却資産は会社や企業に導入されているパソコンやコピー機、そのほかの備品などが対象となります。 一般家庭であれば償却資産まで考える必要はありませんが、固定資産税はそれらの償却資産にも課せられることは覚えておきましょう。 固定資産税の決定方法とは では、固定資産税はどのような決定方法を採用しているのでしょうか。 1.固定資産税の計算方法 固定資産税は以下の計算式で求められます。 ・固定資産税=評価額(課税標準額)×標準税率(1.4%) 以上の計算式に当てはめて計算していくだけなので、実は難しいこともありません。 たとえば、仮に評価額が3,000万円であれば、そこに標準税率の1.4%を掛けて求められます。 つまり、この場合は42万円が固定資産税となるわけです。 しかし、固定資産税は各市区町村によって標準税率も変わることがあります。 地域によっては標準税率が1.5~1.6%となることもあるので、同条件の3,000万円であっても45~48万円となることもあります。 自身が所有している不動産を包括する各市区町村の標準税率を調べておきましょう。 ただし、ここで1つ注意点があります。 それは課税標準額となる評価額が土地と建物によって変わってくるということです。 上ではわかりやすくするために3,000万円で計算しましたが、実際には土地と建物で評価額が異なります。 それらの課税標準額も加味して試算しなくてはなりません。 そのため、以下に土地の評価額と建物の評価額の計算式についても記載しておきます。 ・土地の評価額:土地の面積×路線価=土地の評価額 ・建物の評価額:評点1点あたりの価額×床面積×再建築費評点×経年減点補正率 以上の計算式によって割り出された課税標準額ごとに計算しなくてはならないため、実際は少し複雑になるかもしれません。 たとえば、土地の評価額が4,000万円で、建物の評価額が2,0000万円のようになることもあるわけです。 当然ながら、これらはどのような地域の土地なのか、どのような構造の建物なのかでも大きく変わります。 そのため、自身が所有する土地と建物にはどれくらいの価値があるのかも併せて知っておく必要があります。 2.固定資産税の特例 固定資産税には特例も用意されています。 特例は土地と建物ごとに用意されており、うまく活用すれば大きな節税に繋がります。 以下、固定資産税の特例です。 ▼土地の特例 ・小規模住宅用地:住宅用地200m2以下の部分の課税評価額が1/6 ・一般住宅用地:住宅用地200m2を超える部分の課税評価額が1/3 ▼建物の特例 ・一般住宅:課税床面積120㎡以下の部分の固定資産税が1/2(3年間~5年間) ・長期優良住宅:固定資産税が1/2(5年間) 以上のように土地も建物もそれぞれ特例によって固定資産税を大幅に節約可能です。 それらを踏まえ、仮に小規模住宅用地の土地の評価額が3,000万円、新築の建物の評価額が3,000万円だった場合にどうなるのかを見てみましょう。 ・土地の固定資産税:3,000万円×1/6×1.4%=7万円 ・建物の固定資産税:3,000万円×1.4%×1/2=21万円 この例の場合だと固定資産税は合計28万円になるわけです。 しかし、ここではわかりやすくするためにどちらも3,000万円で計算していますが、実際には土地と建物でそれぞれ課税標準額が変わります。 そのため、自身が所有する土地と建物の価値がどれくらいなのかも含めて把握してから試算しましょう。 どちらにしても特例を活用すれば税金も大幅に削減できるため、必ず自身の状況に合わせて適用できる特例がないかを確認してから固定資産税を割り出してください。 そうすることで、より固定資産税に惑わされることもなくなります。 固定資産税の手続き・納税方法 次に固定資産税の手続きについて見ていきましょう。 税金といえば税務署に直接出向いて支払わなくてはならないという印象がありますが、固定資産税の納税方法は多種多様です。 以下、その主な手段となるので、自分に合った方法で税金を納めましょう。 1.口座振替による自動決済 2.金融機関・コンビニ窓口での手動決済 3.インターネットバンキングでのペイジー決済 4.クレジットカード決済 自治体によってどのような支払い方法を採用しているかは違うのですが、主に以上の4つの方法があります。 特に、近年はペイジー決済やクレジットカード決済など便利な手段が支持されています。 口座振替や金融機関、コンビニを介して支払うという手段もまだまだ健在です。 これらの方法は特に決まりもないので、自分が一番楽だと思う方法を選びましょう。 なお、固定資産税は一括払いなのか分割払いなのかを選べます。 固定資産税の納税通知書は4~6月頃を目安に送付されてきます。 これらの固定資産税は毎年1月1日時点で課税されるのですが、その都度、一括払いか分割払いかを選択できるのです。 そのため、一括払いはそのまま支払い手続きを進め、分割払いは1~4期分の支払い手続きを進めるかたちで納税できます。 なお、分割の場合は1期分が6月末、2期分が9月末、3期分が12月末、4期分が2月末とそれぞれ定められているので、経済状況などに合わせて選びましょう。 固定資産税を少しでも安く抑える方法とは? 固定資産税は数万円~数十万円単位で支払う必要が出てくるため、人によってはかなりの経済的負担となることも多いです。 しかし、前述の通り固定資産税にはいくつかの特例が認められています。 先に説明した土地や建物に対する評価額の特例などがその一例となります。 そのほかにも以下のような特例が用意されています。 土地・建物の特例 耐震改修促進税制 バリアフリー改修促進税制 グリーン投資減税制 以上の特例を活用すれば、固定資産税を少しでも安く抑えられるでしょう。 土地と建物の特例に関しては条件次第でかなり固定資産税を押さえられますし、耐震改修やバリアフリー改修を考えている方は、それらのリフォーム・リノベーションに合わせて減税措置を受けられます。 さらに新エネルギーに関連する構造を取り入れるということなら、グリーン投資減税も受けられるのです。 そのほか、例外としてどうしても固定資産税を抑えたいのなら、土地や建物の価値自体を下げるという方法もあります。 家を建てる際、都会の土地ではなく田舎の土地にしたり、建物も豪邸にするのではなくリーズナブルな家屋にしたり、もともとの価値が低いものを選ぶことで固定資産税も節約できます。 評価額が高くなり過ぎない不動産選びというのも大切です。 固定資産として評価される対象物や相場を調べておこう 固定資産税は対象物や相場を調べておくことも重要です。 特に、近年では不動産を一括査定してくれるサービスもあるため、それらのWebサイトを活用して不動産の価値を確かめておくのがおすすめです。 不動産の価値は常に変動します。 たとえば、土地は周辺の発展などによって価値が高くなることもあれば、逆に荒廃によって価値が低くなることもあります。 これらは単に評価額だけではなく公示地価・基準地価・路線価・時価などによっても変動するのが特徴です。 また、建物も当初は価値が上がっていたとしても、次第に価値は下がっていくのが普通です。 それもそのはず、建物は経年劣化によって老朽化が進みます。当然、その価値も変わります。 このように固定資産税はそれぞれの不動産の価値に影響されるわけです。 だからこそ、対象物や相場について調べておくことも重要なのです。 固定資産税を滞納する危険性 中には固定資産税を滞納してしまう人もいます。 固定資産税に限った話ではないのですが、本来支払うべき税金を支払っていないというのは危険です。 税務署は財産を差し押さえる権利を持っているため、悪質な滞納を続けていると土地も建物も差し押さえられてしまいます。 通常、差し押さえとなるまでには猶予もあり、当初は督促状または納付催告書などが送られてきます。 この時点で財産差し押さえとなる可能性はありません。 しかし、そこから10日前後経過した場合、財産を差し押さえられるのです。 これは簡単にいえば、土地も建物も失うことを意味します。 そのため、たかが税金の滞納と思っている方は考えを改める必要があります。 すべて国に奪われてしまわぬよう、賢く節税しながら真面目に納税するのが一番です。 まとめ 固定資産税は土地や建物など、不動産を所有している方が支払うべき税金です。 もちろん、条件次第では支払う必要がない場合もあるのですが、数千万円単位の価値を持つ不動産を所有している場合は、固定資産税が発生します。 これら固定資産税を滞納すると最悪の場合は財産差し押さえとなる可能性もあるため、まずは納税額を知り、節税なども行いながら支払うのがおすすめです。 特に、これから家を取得する予定の方は、固定資産税についてしっかりと把握しておきましょう。
2022.07.19
住宅ローンは人生でも大きな借金となるため、自分の年収でいくらまで借りられるのかを把握しておくことは重要です。 しかし、住宅ローンは限度額まで組めば良いというものではないため、借入可能額と返済目安額を知ることが重要です。 つまり、いくら借りられるかよりも、いくらまでなら問題なく返せるのかを予測して返済計画を立てていかなくてはなりません。 今回の記事では、自分の年収でいくらまで住宅ローンを借りられるのかを解説します。 併せて、無理のない範囲で返済を行うために知っておきたいことも説明します。 これから家を取得する方は、人生で最も大きな買い物となる可能性が高いため、ぜひ返済計画は慎重に立てていくようにしましょう。 年収からおおよその借入可能額を計算 まずは自分の年収からおおよその借入可能額を計算する必要があります。 しかし、自分で計算するとなると大変なので、そこはそれぞれ提供されている住宅ローンシミュレーションを活用するのがおすすめです。 たとえば、住宅保証機構などが提供している住宅ローンシミュレーション(https://loan.mamoris.jp/borrowing_income.asp)であれば、以下の6つの項目について計算可能です。 返済額の試算 借入可能額の試算 ローンの繰り上げ返済 返済プランの比較 複数ローンの組合せ 住宅取得諸費用の試算 年収からおおよその借入可能額を計算する際は「2.借入可能額の試算」を選択しましょう。 この項目では年収より計算する方法と返済額より計算する方法の2種類があります。 今回は年収から割り出すことを前提としているため、年収より計算する方法を選択します。 そうすると以下の6つの入力欄が出てきます。 返済方法は? 返済期間は? 当初金利は? ご本人様の年収は? 連帯債務者の年収は? 返済負担率は? これらの項目を埋めていくだけで、簡単に年収ごとの借入可能額を割り出せます。 たとえば、元利均等返済で返済期間35年、当初金利1%、契約者本人の年収400万円、連帯債務者の200万円、返済負担率30%の場合は以下が借入可能額となります。 ・借入可能額=5,313万円 日本人の平均といわれている年収400万円であれば、条件次第で約5,000万円前後まで融資を受けられる計算となります。 ただし、契約者本人によってそもそも返済方法は変わりますし、金融機関によって対応している返済期間や当初金利も異なります。 当然ながら、連帯債務者の年収も千差万別です。 借入可能額はあくまでも「借り入れできる限度額」であり、実際に返済できるかどうかは別の問題です。 多くの住宅ローンシミュレーションではこれら限度額による表示となるため、返済計画としては優秀とはいえません。 大切なのは完済できるかどうかなので、住宅ローンシミュレーションを活用しつつも、返済計画はより余裕を持って立てていくことをおすすめします。 年収ごとの住宅ローン借入可能額の目安表 次に年収ごとの住宅ローン借入可能額の目安表を見ていきましょう。 こちらは元利均等返済で返済期間35年、金利1.2%、返済負担率30%および35%の場合の目安表としてまとめます。 なお、額面で計算すると返済計画に無理が生じる可能性があるため、こちらでは手取りで計算した際の金額についても併せてまとめます。 年収(額面) 年収(手取り) 借入可能額(額面) 返済目安額(手取り) 200万円 170万円 1,714万円 971万円 300万円 230万円 2,571万円 1,314万円 400万円 310万円 3,428万円 1,771万円 500万円 404万円 4,999万円 2,308万円 600万円 460万円 5,999万円 2,628万円 700万円 535万円 6,999万円 3,056万円 800万円 600万円 7,999万円 3,428万円 900万円 630万円 8,998万円 3,599万円 1,000万円 720万円 9,998万円 4,113万円 1,500万円 1,010万円 1億円(貸付上限) 5,770万円 2,000万円 1,250万円 1億円(貸付上限) 7,141万円 以上の目安表を参考に住宅ローンの返済計画を立てていくと安心です。 ただし、これはあくまでも一例にすぎません。条件は契約者本人によってはもちろん金融機関によっても変わります。 その点は住宅ローンシミュレーションを活用するほか、融資を受けようと考えている金融機関に試算してもらうのもおすすめです。 ちなみに、住宅ローンにおける返済計画は返済負担率が鍵ですすでに前述の通りですが、返済負担率とは年収に対する返済の割合の目安となる利率をいいます。 これらは年収400万円を下回る方が30%、年収400万円を上回る方が35%までと定められています。 極論をいえば、1年につき年収に対して30~35%までであれば融資を受けられるということです。 ただし、借入可能額はあくまで融資を受けられる金額となります。 限度額まで借りるのは現実的ではありませんし、万が一の際にリスクも生じます。 そのため、日本人の平均年収とされる400万円の方であれば、3,428万円まで借りるのではなく1,771万円までに留めておくことが肝要です。 大切なのは返済負担率を軸に考えて、着実に返済を進めていくことです。 できれば返済負担率は30~35%ではなく、20%以下に抑えるようにしましょう。 そうすることで月々の返済額も減り、万が一の際にも生活が破綻する危険を避けられます。 限度額まで借り入れるリスク では、住宅ローンを限度額まで借り入れると、どのようなリスクに直面するのでしょうか。 ここからは限度額まで融資を受けた際に考えられるリスクについてまとめます。 住宅ローンは数年、数十年と返済していくものなので、可能であれば将来に備えた準備を進めましょう。 特に、予測不可能な事態に巻き込まれても良いように、予防対策しておくことが重要です。 1.死亡や障害で返済できなくなるかもしれない 住宅ローンを組む際は、契約者本人が死亡または障害を負った際、残りの住宅ローンを肩代わりしてくれる団体信用生命保険への加入が求められます。 フラット35では必須とされないものの、金融機関のほとんどは団体信用生命保険への加入を必須条件としています。 そのため、万が一に契約者本人が死亡したり障害を負ったりしても、残された家族が路頭に迷うことはありません。 ただ、団体信用生命保険は契約者本人が死亡や障害を負った際に住宅ローン残高を肩代わりしてくれるものなのですが、必ずしもすべて肩代わりしてくれるとは限りません。 そもそも、団体信用生命保険の適用には条件があり、死亡であれば難なくカバーできるものの障害であればカバーし切れないものもあるわけです。 実際に、高度障害と認められない限りは保険金が下りないこともあります。 そのため、死亡もしくは重篤な病気や怪我をしない限りは保険金も頼りにならないわけです。 限度額まで借り入れると必然的に返済総額も桁違いとなるため、それら将来のリスクに備えなければなりません。 2.離職や失職で返済が滞るかもしれない 住宅ローンは働いて安定収入があることを前提にした借金となります。 そのため、離職や失職によって返済が滞るというリスクもあります。 当然ながら、仕事がなければ支出が増えていく一方で、お金が入ってくることはありません。 その上で限度額まで借り入れしているとダブルパンチで生活自体が破綻する可能性も見えてきます。 現代は単に体を壊して働けなくなるほか、心を病んで働けなくなる方もいます。 その場合、短くても数ヵ月以上、長いと数年以上も働けない期間ができてしまうわけです。 限度額まで借り入れた場合はそれらの返済が重荷となり、最悪の場合は延滞を繰り返して差し押さえられる可能性も見えてきます。 3.別居や離婚で返済に遅れるかもしれない 近年は共働きの家庭が増えたこともあり、夫婦で住宅ローンを組むという方もいます。 たしかに、お互いに働いているのであれば、住宅ローンの負担も夫婦で折半するのが得策に思えます。 しかし、中には別居や離婚をしてしまう夫婦も少なくありません。 その状態で限度額まで借りていると、夫側にも妻側にも借金だけが残るかたちになってしまいます。 また、どちらかが専業主婦(主夫)だった場合、別れることでどちらか一方に負担がのしかかることもあります。 その場合、支えを失った返済計画は崩壊し、生活の基盤もろとも崩れしまうことがあるわけです。 無理なく返済するポイント ここからは無理なく返済するポイントを見ていきましょう。 以下、無理なく返済するために知っておきたい3つのポイントです。 1.返済負担率を20%以下に抑える まず重要となるのが返済負担率を20%に抑えることです。 返済負担率は30~35%と定められているものの、これはあくまでも借入可能額であり返済目安額とは別物です。 そのため、年収に対して返済負担率を20%までにできるよう融資を受けるのがポイントとなります。 可能であれば15%ほどに落とすなど、より余裕のある返済計画を立てていきましょう。 2.ライフステージの変化を想定して考える 就学や就職だけではなく結婚や妊娠、出産や育児、介護や老後など人生は年齢ごとにライフステージが変化していきます。 長い人生では何が起こるかわかりません。 住宅ローンを組む際はそれら予測不可能な事態を想定して考えることが重要です。 生きていれば病気や怪我もしますし、離婚するのはもちろん逆に予定外の子供が生まれたり、両親や祖父母の世話をしなくてはならなくなったりもします。 それらライフステージの変化を想定して考えることもポイントです。 3.定年65~75歳までに完済する計画を立てる 昨今は晩婚化が進み、40代で結婚するという方もいらっしゃいます。 そこから住宅ローンを組むとなると借入時年齢・完済時年齢ともに高くなってしまいます。 完済する頃には80代近くなっているかもしれません。 そうなると返済にも無理が生じるので、できればリタイアする前に完済できるよう計画を立てていくのがポイントです。 借りられる金額と返せる金額は違う 住宅ローンは借りられる金額と返せる金額を別物として考えなくてはなりません。 実際に前述した目安表から見てもわかる通り、借入可能額と返済目安額は数百万円~数千万円ほどの差が生まれる場合もあります。 限度額まで融資を受けると万が一に生活が傾いた際、拍車をかけるように住宅ローンが重荷となります。 しかし、逆に無理のない返済計画を立てておけば、予測不可能な事態に陥っても耐えられるかもしれません。 返済負担率を20%まで抑えるなど工夫しましょう。欲をいえば15%前後でとどめておくのが良いです。 どうしてもそれ以上の家を取得したいということなら、頭金を貯金するか、もしくは両親や祖父母から購入資金を援助してもらう方法もあります。 ただし、その場合もリスクがないとはいえないため、あくまでも自分たちが完済できるよう計画を進めていきましょう。 まとめ 住宅ローンは年収によって借り入れできる限度額が定められています。 それら限度額は1年につき年収の30~35%とされています。 しかし、返済負担率はあくまでも限度額であり、完済できるかどうかはまた別問題です。 できれば、返済負担率を20%以下にまで抑え、不測の事態が発生しても返済できるよう計画を進めていきましょう。 なお、いくらまで借りられるのかは条件次第でも変わるため、契約予定の金融機関に直接相談してみるのもおすすめです。 var raclear_company = "nagomi-koumuten";var raclear_campaign = "230605_column";var raclear_width = "auto";var raclear_height = "auto";
2022.07.19
住宅ローンを契約する際、多くの金融機関では団体信用生命保険への加入が必須とされています。 しかし、団体信用生命保険について耳にしたことはあっても、詳しい内容についてはわからないという方も多いのではないでしょうか。 今回の記事では団体信用生命保険とは何かを解説します。 ここでは団体信用生命保険の概要や種類、保障内容、注意すべきポイントや選ぶコツについて説明するので、団体信用生命保険が何かわからない方は、ぜひ最後までお読みください。 なかにはフラット35など団体信用生命保険への加入が必須ではない住宅ローンもありますが、多くの場合は必要となるものなので、ぜひこの記事で理解を深めましょう。 団体信用生命保険はどんな保険? まず団体信用生命保険を知るには、団体信用生命保険がどのような保険なのかを理解していく必要があります。 ここでは団体信用生命保険の概要についてまとめるので、まずは目を通してみてください。 そもそも団体信用生命保険ってなに? 団体信用生命保険とは住宅ローンの契約者本人が死亡もしくは高度障害によって働けなくなった際、保険会社がローン残高を返済してくれる保険をいいます。 つまり、契約者本人に万が一のことがあった時に、残された伴侶や子供を守るための保険なのです。 これら団体信用生命保険は団信ともよばれ、住宅ローンを契約する最低条件とされることもあります。 実際に、多くの金融機関では契約者本人に万が一のことあっても対応できるよう、団体信用生命保険への加入を条件として融資している場合が多いです。 逆に、団体信用生命保険に加入していないと返済する人がいなくなってしまうので、伴侶や子供の経済的負担が増えるだけではなく、返済が滞ることによって金融機関も多額のリスクを背負うことになるのです。 それを避けるために用意されているのが団体信用生命保険です。 団体信用生命保険に加入しておけば、死亡や高度障害によって返済不可能となった場合も家族が路頭に迷うことはありません。 なかにはフラット35など一部例外もあり、人によっては加入の可否を知らずに住宅ローンを申し込む人がいますが、原則としては最低限必要なものとして団体信用生命保険を考えておく必要があります。 団体信用生命保険の種類と保障内容 団体信用生命保険にはいくつかの種類があり、それら種類によって保障内容が異なります。まずは以下、代表的な団体信用生命保険の種類についてまとめます。 通常の団体信用生命保険 三大疾病特約付きの団体信用生命保険 八大疾病特約付きの団体信用生命保険 ワイド団体信用生命保険 これら団体信用生命保険は加入する種類によってカバーできる範囲が異なります。 たとえば、通常の団体信用生命保険であれば死亡や高度障害だけですが、特約付きの団体信用生命保険を選ぶことで三大疾病や八大疾病までカバーできます。 そのほか、ワイド団信とよばれる団体信用生命保険もあるので、まずは1つひとつ詳細を見ていきましょう。 1.通常の団体信用生命保険 通常の団体信用生命保険では契約者本人が死亡もしくは高度障害となった際、ローン残高を保険会社が肩代わりしてくれます。 ローン残高の金額にかかわらず肩代わりしてもらえるため、残された家族の負担になることもありません。 近年は基本保障に加えて、がん特約などを付けたものに加入する方もいます。 自分が罹患しそうな病気や怪我を予測しつつ、加入を検討してみましょう。 2.三大疾病特約付きの団体信用生命保険 日本では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の3つが三大疾病とされています。 これらは日本人が罹患する可能性の高い疾患です。 三大疾病特約付きの団体信用生命保険であればこれら三大疾病をカバーでき、万が一「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」に罹患した場合はローン残高がゼロとなります。 3.八大疾病特約付きの団体信用生命保険 日本では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の三大疾病に加え、「糖尿病・高血圧系疾患・慢性腎不全・肝疾患・慢性膵炎」の5つが五大疾病とされています。 これらも日本人が罹患する可能性の高い疾患です。 八大疾病特約付き団体信用生命保険は「三大疾病+五大疾病」の両方をカバーでき、万が一、該当する疾患に罹患した場合はローン残高がゼロとなります。 4.ワイド団体信用生命保険 例外とはなるものの、団体信用生命保険にはワイド団体信用生命保険というものもあります。 これらはワイド団信とよばれ、健康上の理由で通常の団体信用生命保険に加入できない方でも加入できる団体信用生命保険となっています。 通常の団体信用生命保険は健康状態が良好でない限り加入が許されないことも多く、泣く泣く団体信用生命保険の必要ない住宅ローンを組む方もいるかもしれません。 しかし、ワイド団信であれば条件が緩和されているため、健康上で何か問題がある方でも加入できる可能性があるのです。 団体信用生命保険で注意すべきポイント 団体信用生命保険の加入においては注意すべきポイントもあります。 これらはいくつかあるため、以下で確認しておきましょう。 カバーできないリスクがある 健康状態が悪いと加入できない 通常の生命保険と重複する 複数の団信に加入できる 以上のポイントを見ておくことで、より安心安全に団体信用生命保険を検討できます。 1.カバーできないリスクがある 団体信用生命保険は死亡・高度障害の状態となった際に保険金で返済してくれる保険となります。 しかし、団体信用生命保険では保険金が支払われない可能性もあります。 一部の病気や怪我に対しては特約を付ければ対応可能ですが、保険適用の条件はそれぞれ異なります。 死亡であれば確実なものの高度障害も実際に重篤な症状と認められない限りは、保険金が下りないという事態も発生するのです。 単に死亡や高度障害と認められないものの、病気や怪我によって働けなくなった場合は、保険金も下りず働けずという最悪の事態に陥る可能性もあります。 その点は注意が必要です。 2.健康状態が悪いと加入できない 団体信用生命保険は誰もが加入できるわけではなく、契約の際に審査があります。 これらはほかの保険と同様、本人の健康状態が重視されます。 当然ながら、すでに何かしらの疾患を抱えている場合、そもそも団体信用生命保険に加入できない可能性があります。 その場合は加入が必須ではないフラット35を利用したり、条件が緩いワイド団信を利用したりと、予防対策はいくつかあります。 しかし、何よりも健康であることが一番なので、その点も気をつけておくべきです。 3.通常の生命保険と重複する 団体信用生命保険を契約する以前からほかの民間生命保険に加入している方も少なくありません。 その場合、団体信用生命保険と民間生命保険の保障内容が重複してしまうかもしれません。 そうなると二重で保険料を支払わなくてはならないため、経済的負担も多くなります。 そのため、もしすでに民間生命保険に加入している場合は、住宅ローンを組む際に見直しするのがおすすめです。 4.複数の団信に加入できる 団体信用生命保険は1つの住宅ローンに対して1つの契約が可能です。 そのため、複数の不動産を所有する方はその都度、加入できます。 つまりは複数の団体信用生命保険に加入できるということです。 一般的な住宅ローンだけならここまで考える必要はないですが、もし、不動産投資も考えているのなら、それらの団体信用生命保険をどうすべきか考える必要があります。 銀行系住宅ローンとフラット35の団体信用生命保険の違いは? 通常の銀行系住宅ローンとフラット35では団体信用生命保険への加入の可否が変わります。 前述の通りなのでそちらは省きますが、要は契約先によって団体信用生命保険に加入すべきかどうかも変わるということです。 これら団体信用生命保険は提供している組織がそもそも異なります。 銀行系住宅ローンは民間金融機関が単体で提供している反面、フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供しているものとなります。 そこが大きな違いとなるでしょう。 では団体信用生命保険から見ると何が違うのかというと、これは条件がそもそも異なります。 銀行系住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が必須とされていることが多いですが、フラット35では団体信用生命保険への加入が必須とはされていません。 そのため、意図的に加入しないという選択もできるわけです。 団体信用生命保険を選ぶコツ では、団体信用生命保険を選ぶ際にはどのような点を知っておくべきなのでしょうか。 ここからは団体信用生命保険を選ぶコツについてまとめます。 1.保険の特徴で選ぶ そもそも団体信用生命保険がどのような保険なのか、その特徴を知ってから選ぶことがとても重要です。 団体信用生命保険は民間生命保険とは異なり、死亡・高度障害に対して保険金が下りる保険です。 しかし、状況によっては保険金が下りないこともあります。 これは民間生命保険と同様と言えます。だからこそ、それぞれの保険の特徴を把握して選ぶべきです。 2.特約の検討で選ぶ 「団体信用生命保険にさえ加入しておけば完璧」と思っている方ほど危険です。 実際に団体信用生命保険は通常のものだと死亡・高度障害に関する疾患しかカバーされないため、保障範囲はそこまで広くありません。 なかには、特約を付けて初めてカバーできる病気や怪我もあります。 そのため、団体信用生命保険を選ぶ際は特約の有無でも検討しましょう。 それだけでなく、その他のカバーできないリスクも考えて就業不能保険など生命保険とは違う保険への加入も検討することが大切です。 3.加入の時期で選ぶ 団体信用生命保険は住宅ローンの契約時のみ加入可能です。 特約に関しても加入時に付けることとなります。 そのため、後になってから「加入したい」「特約を付けたい」と思っても手遅れです。 だからこそ加入する時期で選ぶことが重要です。 もし今は必要ないということならフラット35など団体信用生命保険が不要な住宅ローンを契約し、後から民間生命保険に加入するというのも手です。 自分が必要だと思った時期に加入しましょう。 収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになるのか? 団体信用生命保険と似た保険に収入保障保険というものがあります。 これは死亡もしくは病気や怪我によって住宅ローンの返済が困難となった際、長期間にわたって保険金を分割して受け取れる保険です。 そのため、結論をいえば収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになり得ます。 しかし、団体信用生命保険は契約者本人が死亡・高度障害と認定された際にローン残高を一括返済してくれるのに対して、収入保障保険は分割して受け取るものとなります。 そう考えると両者は性質こそ似ているものの、別物の保険だということです。 ただし、収入保障保険は死亡や高度障害だけではなくそのほかの疾病もカバーできるため、どちらにもメリット・デメリットがあります。 どちらかを代わりとして活用するというより、どちらの方が自分のライフスタイルやライフステージに合っているのかを検討するのがおすすめです。 まとめ 住宅ローンを契約する際、金融機関では団体信用生命保険への加入が必須です。 これらはフラット35などでは不要となるものの、加入が審査の条件となることも多いです。 そのため、団体信用生命保険の内容について詳しく知っておくことが重要です。 ただし、団体信用生命保険に加入しておけば安心というわけでもないので、特約を含めどのような団体信用生命保険が必要なのかを慎重に検討しましょう。 場合によっては就業不能保険や収入保障保険などへの加入も加味しつつ判断することが大切です。
2022.07.14
住宅ローンはただ毎月決まった金額を払っていくというものではありません。 融資を受ける内容によるものの、実は住宅ローンの返済方法には大まかに分けて2種類あります。 1つが元利均等返済で、もう1つが元金均等返済というものです。 この2つはどちらを選んでも良いのですが、選択する返済方法によって返済総額が増減します。 そのほかにも返済が進めば進むほど両者の違いを感じるようになります。 今回の記事ではこれから住宅ローンを契約する方に向けて、元利均等返済と元金均等返済のどちらを選ぶべきなのか解説します。 特に、両者の概要はもちろん、メリット・デメリットについて詳しく説明するので、どちらがお得なのかを考えて選びましょう。 記事の最後には向き不向きもまとめているので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。 元利均等返済とは まずは元利均等返済について知っておきましょう。 ここでは元利均等返済の概要とメリット・デメリットを詳しくまとめます。 元利均等返済がどのような返済方法なのかわからない方は、ぜひ目を通してみてください。 元利均等返済の概要 元利均等返済とは、毎月の返済額が一定の返済方法です。 元利、つまりは元金と利息を合わせて均等に返済していく方法です。 そのため、元利均等返済は返済総額に占める元金と利息の割合が徐々に変化する返済方法となります。 元利均等返済のメリット・デメリット では、元利均等返済のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。 ▼メリット 毎月の返済額が一定である 将来の家計収支を把握しやすい 元利均等返済は毎月の返済額が一定です。 つまり、1年目も10年目も20年目も30年目も同じ返済額を返済していく方法となります。 そのため、将来の家計収支を把握しやすく、着実に住宅ローンの完済に近づいていけます。 途中で繰り上げ返済をすれば返済総額をさらに減らせるため、賞与があった際に繰り上げ返済してしまうのも1つの手です。 ▼デメリット 返済総額が多くなる 元金の減りが遅い 元利均等返済は返済総額が多くなってしまいます。 借り入れる金額によっても違うものの、最終的には数十万円~数百万円ほど変わってくる場合があるわけです。 また、毎月の返済額は変わらない一方、返済総額に占める元金と利息の割合は変化します。 そのため、住宅ローンの返済開始時はローン残高が大きいために利息として支払う割合が大きく、逆に元金の返済の割合が小さくなってしまいます。 その結果、元金の減りが遅くなる点には注意しなければなりません。 元金均等返済とは 次に元金均等返済についても知りましょう。 ここでは元金均等返済の概要とメリット・デメリットを詳しくまとめます。 元金均等返済がどのような返済方法なのかわからない方は、併せて目を通しておきましょう。 元金均等返済の概要 元金均等返済とは、元金の返済額が一定の返済方法となります。 元金、つまりは借り入れた金額のみを均等に返済していく方法です。 元金均等返済はローン残高に応じて利息を計算して算出する返済方法となります。 元金均等返済のメリット・デメリット では、元金均等返済のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。 ▼メリット 返済総額が少なくなる 元金の減りが早い 元金均等返済は元金の返済額が一定です。 しかし、利息はローン残高によって違うので、返済を経れば経るほどローン残高が減っていきます。 つまり最初に支払う金額は大きくなるものの、元金の減りは早いのが特徴です。 元金が早いうちから減っていくので、自然と返済総額も少なくて済みます。そこが大きな魅力といえるのではないでしょうか。 ▼デメリット 毎月の返済額が最初だけ多い 審査が厳しくなるかもしれない 融資限度額が少なくなるかもしれない 元金均等返済は毎月の返済額だけ多くなってしまいます。返済総額自体を減らすには最適な返済方法といえるのですが、借り入れしたばかりの時は経済的負担も大きいです。 そのため、金融機関の多くは審査基準とする年収も高く設定しているのです。 年収が一定以上あれば問題ありませんが、余裕のない年収の場合は審査にも落ちる可能性があります。 特に年収に余裕がないと融資限度額も少なくなる可能性があるので注意しましょう。 元利均等返済と元金均等返済どちらがお得? ここまで元利均等返済と元金均等返済について知ると「じゃあ結局はどちらがお得なの?」と思う方もいるかもしれません。 これに関しては結論を先にいうと、元金均等返済の方が元利均等返済に比べてお得になります。 実際にいくつかのケースを見るとわかりやすいので、ここからはいくつかの例を挙げます。 1.借入額1,000万円・利息年3%・返済回数240回・賞与なしのケース 仮に金融機関から1,000万円を融資してもらい、それを利息年3%かつ返済回数240回を例に見ていくと以下のような差が出ます。 なお、ここでは賞与による繰り上げ返済はないものとします。 元利均等返済 元金均等返済 初回の返済額 5万5,459円 6万6,666円 10年目の返済額 〃 5万4,270円 20年目の返済額 〃 4万1,770円 返済総額 約1,331万円 約1,301万円 この表からもわかるように元利均等返済に比べて元金均等返済の方がお得になることがわかります。 あくまでも条件によって変わるものの、その差は実に約30万円となるわけです。 つまりは返済方法の選び方次第で約30万円もの差がでてくるのです。 これは借入額1,000万円のケースですが、借入額が多くなればなるほどその差も大きくなります。 2.借入額3,000万円・利息年2%・返済回数420回・賞与なしのケース 次に金融機関から3,000万円を融資してもらい、それを利息年2%かつ返済回数420回を例に見ていきましょう。 その場合は以下のような差が出ます。 なお、ここでも賞与などによる繰り上げ返済はないものとします。 元利均等返済 元金均等返済 初回の返済額 9万9,378円 12万1,428円 10年目の返済額 〃 10万7,261円 20年目の返済額 〃 9万2,975円 35年目の返済額 〃 7万1,787円 返済総額 約4,174万円 約4,052万円 この表でもわかりますが、やはり元利均等返済より元金均等返済の方がお得になります。 これらは条件によって異なるのですが、その差は実に約122万円となります。 そう考えると返済方法の選び方次第で約120万円という大差が生まれるわけです。 これが借入額4,000~6,000万円となれば、さらに差も膨らんでいきます。 自分に向いているのは元利均等返済と元金均等返済のどちら? ここまで元利均等返済と元金均等返済を見てきた方の中には「元利均等返済の方が良いのかな」「元金均等返済の方が良いかも」と迷う方もいるかもしれません。 返済総額だけで見てみると元利均等返済よりも元金均等返済の方がお得になるため、多くの方は元金均等返済の方が良いと考えるかもしれません。 しかし、条件によっては元利均等返済の方が向いている方もいます。 そこで、ここでは住宅ローンの返済方法を選ぶ最終局面として、どちらが自分に向いているのかを判断する指標をまとめます。 まずはそれぞれ向いている人と向いていない人をまとめるので、自分にはどちらの方が合っているのかを見極めて選びましょう。 1.元利均等返済が向いている人 元利均等返済の特徴をおさらいすると、メリットが「毎月の返済額が一定である」「将来の家計収支を把握しやすい」でデメリットが「返済総額が多くなる」「元金の減りが遅い」となります。 そのため、毎月の返済額を一定にしたい方、将来の家計収支を把握したい方に元利均等返済が向いているといえるでしょう。 元利均等返済はローン返済当初の返済額が低いので、安定した返済計画をスタートしたい方におすすめです。 特に妊娠や出産、育児や介護などで当初の返済額を少しでも抑えたい方は元利均等返済を選ぶのも1つの手です。 逆に返済総額が多くなることや元金の減りが遅いことを気にするなら、元利均等返済は向いていません。 ただし、繰り上げ返済できるなら元利均等返済を選ぶのも良いです。 たとえば、毎年のボーナスを返済に充てていけば、返済総額を抑えつつ元金を減らしていけます。 そのため、もし返済に余裕があるということなら繰り上げ返済も加味して計画しましょう。 2.元金均等返済が向いている人 元金均等返済の特徴をおさらいすると、メリットが「返済総額が少なくなる」「元金の減りが早い」で、デメリットが「毎月の返済額が最初だけ多い」「審査が厳しくなるかもしれない」となります。 そのため、返済総額を少なくしたい方、元金を早く減らしたい方に元金均等返済が向いているといえるでしょう。 元金均等返済はローン返済当初の返済額こそ高いものの元金を早い段階から減らしていけるため、返済計画をすぐにフィニッシュしたい方におすすめです。 当初から資金に余裕がなければ難しいですが、ある程度の返済が見込めるのなら元金均等返済を選びましょう。 逆に、毎月の返済額が最初のうち多いことや審査に通りにくくなることが気になるなら、元金均等返済は向いていません。 特に元金均等返済は当初の返済額が高くなるので、借入額が少なくなってしまいます。 たとえば、仮に金利2%で返済期間35年、毎月返済額10万円の場合、元利均等返済なら3,018万円まで融資してもらえます。 しかし、それが元金均等返済となると2,496万円までしか融資してもらえなくなるのです。 実に500万円近く融資限度額に差が出ます。 それらの点も加味して返済方法を選ぶ必要があるでしょう。 まとめ 住宅ローンの返済方法には大きく分けて元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。 これらはどちらにもメリット・デメリットがあるため、自身が最適だと思う方を選ばなくてはなりません。 単純にお得なのがどちらかという観点なら元利均等返済よりも元金均等返済ということになるのですが、繰り上げ返済できる場合などはむしろ立場が逆転することもあります。 そのため、自身の返済計画に照らし合わせながら最適な返済方法を選ぶことが大切です。
2022.07.14
住宅ローンの借入先としては銀行などの金融機関が一般的ですが、住宅金融支援機構が金融機関と提携して提供しているフラット35など他にも選択肢は多々あります。 多くの方は住宅ローンを組む際、普段から利用している金融機関に依頼することが多くなりがちですが、単に以前から利用しているからという理由で決めてしまうのは危険です。 むしろフラット35などが合っている人もいるため、無理に民間ローンで契約する必要はありません。 実際にどの金融商品で契約するかによって金利も変わりますし、返済の方法や返済の総額も変わってきます。 そのため、もしこれから住宅ローンを組むということなら、フラット35で借りる方法なども検討してみましょう。 ここではそれらフラット35がどのような住宅ローンなのかを解説します。 また、ここでは通常の銀行ローンとの違いについても説明するので、ぜひ最後までお付き合いください。 フラット35の概要 そもそもフラット35がどのような住宅ローンなのかというと、簡潔にいえば長期固定金利の住宅ローンとなります。 これらは住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している金融商品の一つで、返済の全期間が固定金利になるという特性を持ちます。 そのため、フラット35で契約すれば最初から最後まで金利が変わらないわけです。 それがフラット35最大の特徴であり、魅力でもあります。 そのほかにも多くの強みを持っており、将来の家計まで細かくシミュレーションしたい方などから支持を得ています。 フラット35の金利 ではフラット35はどれくらいの金利となるのでしょうか。 これら住宅ローンの金利は時代によって変わるものの、フラット35の場合は契約した時点で決定するのが特徴となっています。 フラット35の金利については、以下で詳しくまとめます。 フラット35の金利が決まる仕組み フラット35の金利に関しては全期間固定金利となるため、長期金利と連動して決まるのが特徴です。 なかでも長期金利の代表的な指標とされる10年国債金利と連動して決定される仕組みとなっているため、フラット35の金利が知りたい場合は10年国債金利を見るのが良いでしょう。 実際に10年国債金利の金利が下がればフラット35の金利も下がり、逆に10年国債金利の金利が上がればフラット35も上がる仕組みです。 そこまで大変動があるわけではないですが、フラット35においては今後35年間の返済生活を決める金利となるため、現在進行形で金利がどのようになっているのかを知る必要があります。 フラット35の2019年の最新金利 フラット35の金利に関しては最新情報を常に獲得しておくのが安心です。 これらフラット35の金利は取り扱っている金融機関ごとに異なるため、厳密な数字を割り出すことは難しいです。 それでいて時代によっても違うので、主に住宅金融支援機構のサイトやホームページなどから最新情報を確認しておきましょう。 ちなみに、新規借り入れなのか中途借り換えなのかなのかによっても選べる金融商品が異なるため、住宅ローンを借りる前に必ず確認しておいてください。 なお、金利の範囲に関しては返済期間によっても変わるものの、年1.220~2.550%ほどとなるのが一般的です。 フラット35のメリット・デメリット フラット35にはメリットもあればデメリットもあります。 それでいて借入時と返済時によっても利点欠点が変わります。 まずは以下でそれぞれ詳しい良し悪しをまとめるので、ぜひ契約の前に参考にしてみてください。 借入時のメリット・デメリット 借入時のメリット ・保証料がかからない ・団体信用生命保険の加入が任意である ・フラット35Sの適用で金利を抑えられる 借入時のデメリット ・物件の検査が必要となる ・諸費用は補えない フラット35は借入時のメリットとして、保証料がかからないことや団体信用生命保険の加入が任意であること、そしてフラット35Sの適用で金利を抑えられることなどが挙げられます。 しかし、デメリットとしては物件の検査が必要となるほか、諸費用の分までは借り入れできないために、自己資金をいくらか貯めておかなくてはならないことが挙げられます。 返済時のメリット・デメリット 返済時のメリット ・返済計画を立てやすい ・繰り上げ返済に手数料がかからない 返済時のデメリット ・良くも悪くも金利の影響を受けない ・金利が若干ながら高めに設定されている ・団体信用生命保険に加入する場合は別途お金がかかる フラット35の返済時のメリットとしては、返済計画を立てやすいことや繰り上げ返済に手数料がかからないことなどが挙げられるでしょう。 その一方、金利の影響を受けないため、金利が上がった場合は影響がない反面、金利が下がった場合も恩恵を受けられないというデメリットがあります。 それでいて、最初から金利が少し高めに設定されていますし、仮に団体信用生命保険に加入したい場合は別途でお金もかかります。 フラット35に向いている人、向いていない人 フラット35が向いている人 ・金利の変動に左右されたくない人 ・転職や起業したばかりで収入が安定していない人 ・健康の問題から団体信用生命保険に加入できない人 フラット35が向いていない人 ・毎月返済額を最優先に考えたい人 ・金利による経済的負担を減らしたい人 ・他の銀行ローンで金利優遇されている人 フラット35は長期間固定金利となるため、金利の変動に左右されたくない人や転職・起業したばかりで収入が安定していない人、団体信用生命保険に加入できない人に向いています。 逆に、毎月返済額を最優先に考えたい人や低い金利によって経済的負担を少なくしたい人、民間の住宅ローンで金利優遇されている人などには向いていません。 フラット35はそれぞれ向き不向きを考えて選ぶべきです。 フラット35と銀行ローンどちらを選ぶ? では、フラット35と銀行ローンはどちらを選ぶべきなのでしょうか。 これに関しては両者に魅力があるのですが、契約者本人によって向き不向きというものがあります。 まずは、比較する際のポイントや返済総額について検証してみましょう。 比較する際のポイント フラット35にすべきか銀行ローンにすべきか迷った場合、まずは以下の4つの観点から比較してみましょう。 審査が厳しいかどうか 保証料がかかるかどうか 繰り上げ返済の手数料がかかるかどうか 団体信用生命保険に加入すべきかどうか 住宅ローンは人生で最も大きな契約となる方が多く、当然ながら金融機関も審査を設けています。 しかし、実は銀行などでは審査が厳しいもののフラット35は比較的審査も緩い傾向にあります。 そのため、事前審査や本審査に難なくクリアできそうな場合は民間ローンを選ぶ価値がありますが、逆に審査に落ちそうな場合はフラット35を選ぶのもありです。 また、保証料も馬鹿にできません。 銀行の住宅ローンの中には保証料がかからないものもあるのですが、借入額に対して1~2%ほどかかるところもあります。 当然、住宅ローンは数千万円単位で契約するため、たかが数%でも大きな経済的負担となります。 その一方、フラット35は原則として保証料が必要ありません。 これら保証料を節約したいならフラット35を選ぶべきですし、保証料がかかっても仕方ないと思えるなら民間ローンでもありです。 そのほか、繰り上げ返済の手数料がかかるかどうかも考えておくべきです。 年齢を重ねて収入が増えた場合、繰り上げ返済なども視野に入れて老後に備える方もいます。 しかし、銀行によっては繰り上げ返済する際に手数料を取られる場合があります。 フラット35はその点、手数料も無料です。 それら手数料がかかるかどうかでどちらを選ぶべきか考えるのも良いでしょう。 団体信用生命保険に加入すべきかどうかで検討することも重要です。 団体信用生命保険とは、契約者本人が死亡したり高度障害となったりした場合、保険金が下りる仕組みの保険です。 フラット35では団体信用生命保険への加入が任意ですが、民間ローンでは加入が必須とされていることも多いです。 加入の是非でどちらを選ぶべきか判断するのも良いでしょう。 銀行の住宅ローンとフラット35の返済総額の比較検証 銀行の住宅ローンとフラット35の住宅ローンでは、返済総額にどれくらいの差があるのでしょうか。 これに関しては条件によって大幅に異なるため、一概に比較することは難しいです。 ただし、同じ条件であれば返済総額はもちろん毎月返済額も変わってくるので、その点は自身の条件に当てはめて考えていく必要があります。 仮に3,000万円の融資を銀行から変動金利1.2%で借りた場合とフラット35から固定金利1.35%で借りた場合とでは0.15%の差が出てきます。 当然ながら、変動金利の方は5年ごとに金利が見直されるため、金利が上がった場合はフラット35よりも返済総額が高くなる可能性もあります。 逆に金利が下がった場合はフラット35よりも返済総額が低くなる可能性もあるわけです。 その一方でフラット35はずっと同じ金利なので、返済総額も当初と変わりません。 これら金利による影響で大幅に返済総額が変わる点には注意しなければなりません。 返済計画によっては数十万円~数百万円ほどの差も出るため、金融機関と何度も打ち合わせして決めていきましょう。 フラット35と銀行住宅ローンを比較するポイント フラット35にすべきか銀行にすべきか迷った場合、どのような点を比較すべきなのでしょうか。 ここではそれぞれを比較するポイントをまとめます。 「審査の通りやすさ」「付加価値サービス」を考慮する まずは審査の通りやすさや付加価値サービスを考慮してください。 フラット35は比較的審査が通りやすいのですが、銀行などの金融機関はそう簡単にはいきません。 実際に年収はもちろん借入時年齢、完済時年齢、健康状態、勤続年数など無数の項目で審査されます。 そのため、審査の通りやすさを見てから判断することが重要となるでしょう。 ただし、銀行は銀行で独自の付加価値サービスを提案してくれます。 金融機関によっては病気や怪我の治療の際にセカンドオピニオンを受けられたり、24時間電話で相談可能だったりします。 また、10年間にわたってTポイントなどが付与されたり、特定の店舗で商品を購入する際にポイントが加算されたりする銀行もあるくらいです。 さらには各種割引も提供されるなど、民間ローンを組むからこそ得られる特典も多々あります。 単に「フラット35が良い」とも「銀行ローンが悪い」ともいえないので、そこは自分に合った方を選ぶのがベストです。 団信は必要か?不要か? フラット35と銀行の住宅ローンの違いは、団体信用生命保険の是非にあります。 前述の通り、フラット35は団体信用生命保険の加入が任意ですが、銀行では必須とされることが多いです。 そのため、契約の際にはそもそも団体信用生命保険が必要なのかどうかを今一度、考えてみましょう。 特に、死亡や高度障害に備えたいということなら団体信用生命保険への加入をおすすめします。 しかし、十分に収入があって貯金もあり、今後も健康に過ごせるという自信があるのなら無理に加入しなくても良いです。 ただし、団体信用生命保険の加入は契約時に考えなくてはならないため、本当に必要か不要か真剣に考えなくてはなりません。 「そもそも、フラット35を利用できるのか?」不動産会社に確認する もし不動産を取り扱っている業者に相談する場合は、フラット35が利用できるのかどうかを確認してみましょう。 実のところ、不動産業者によってはフラット35の取り扱いがないところもあります。 そのため、いくら自分がフラット35で契約したいと思っていても、対応してもらう不動産業者ごとに違うため、後になってから行き詰まることもあります。 そのため、契約の前に必ずフラット35を利用できるのかどうか確認してください。 もし利用できないようであれば、ほかに利用できる不動産業者がないかどうか調べてみることも大切です。 なお、住宅ローンは人生に関わる重要な決断でもありますので、そこはファイナンシャルプランナーなど人生設計のプロに相談することも重要です。 ファイナンシャルプランナーであれば契約者本人の年収などから最適な住宅ローンの返済計画も立ててくれるため、より無理せずに夢のマイホームを取得できます。 まとめ 住宅ローンには銀行が提供している民間ローンがあるのですが、なかには住宅金融支援機構が金融機関と提携して提供しているフラット35もあります。 これらはどちらが良いとも悪いとも言えないのが正直なところで、自分に合った方で契約するのが最適解となります。 まずはそれらフラット35の特性と銀行ローンの特性を知り、その中でも本当に良いと思えるところを選ぶようにしましょう。 詳しくは、金融機関、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談して決めていきましょう。
2022.07.05
フリーランスなどの台頭によって自営業が広く認知されつつある一方、世間では「自営業では住宅ローンが通りづらい」といわれることもあります。 実際に、安定したサラリーマンに比べて自営業は不安定と判断されることも多く、審査に落ちてしまう方もいるのが現状です。 しかし、金融機関も鬼ではありません。 自営業であっても融資してくれるところはあります。 今回の記事ではそれら自営業の方が住宅ローンを申し込む際に知っておきたいことを解説します。 特にここでは自営業だと本当に住宅ローンの審査が通らないのか、はたまた自営業はどうやって審査されるのかなど、気になる点について説明します。 また、自営業が住宅ローンの審査に通るための秘訣やフラット35の活用についてもまとめます。 自営業を始めたのは良いものの、住宅ローンの審査が通るかどうか不安という方は、ぜひ最後まで読んで心配を少しでも減らしてみてはいかがでしょうか。 自営業だと住宅ローンの審査は通らないの? では、自営業だと本当に住宅ローンの審査は通らないのでしょうか。 これに関しては結論を先に言うと、審査が通りにくいのは事実といえます。 ただし、それはあくまでもサラリーマンなど継続して現金収入が入る人と比べた場合に限ります。 自営業であってもきちんと継続して現金収入があるのなら、審査にも問題なく通る場合もあるわけです。 その一方で自営業だと審査が厳しくなるのも事実なので、自営業が住宅ローンを断られやすい理由についても把握しておくことが重要です。 以下、自営業がなぜ審査に落ちやすいのかについてわかりやすくまとめます。 自営業が住宅ローンを断られやすい理由 まず、金融機関で住宅ローンを申し込む際、必ずと言って良いほど審査と呼ばれるものがあります。 そこで本人に適性があるかどうか判断され、金融機関が「この人になら融資しても最後まで返済してくれそう」と判断された場合に限り審査を通過できます。 では、どのような点を見て判断されるのかというと、金融機関ごとに無数の審査項目が設定されており、それら審査項目ごとに判断されるのが普通です。 たとえば、これらの審査は本人の年齢や年収、職場や勤続年数、融資状況や健康状態、借入時年齢や完済時年齢などが審査されます。 なかでも特に重要な項目とされるのが、収入の安定性や継続性です。 仮に年収500万円を数十年ベースで稼げるということなら、金融機関は収入が安定していると判断します。 逆に年収1,000万円であっても翌年翌々年が稼げなくなるということなら、金融機関では収入が安定していないと判断するわけです。 これがまさにサラリーマンと自営業の違いだといえるでしょう。 もちろん、サラリーマンも未来永劫安泰なのかといわれるとそうではないですが、少なくともフリーランスなどよりは安定収入があると見込まれます。 逆に、自営業は収入にも波があるため、調子が良い年は返済も滞りなくできるかもしれませんが、調子が悪い年は返済すらままならないこともあるわけです。 それらの点から自営業は住宅ローンの審査に通りにくいといわれています。 自営業の場合どうやって審査される? 自営業として個人事業主をやっている方はもちろん、会社や企業を経営している方も金融機関の審査は厳しいです。 大原則として自営業の場合、住宅ローンの審査は収入が安定しているかどうかが重要な審査項目となります。 そのため、最低でも3期連続黒字であることが基本となるでしょう。 金融機関に収入の安定性や継続性を理解してもらうためには、最低でも3年度分の黒字報告が必須です。 なかには1期だけ赤字であっても審査に落ちてしまう金融機関があるほどです。 原則は直近3期分の年収を見て判断されるので、その点で勝負することになるでしょう。 ただし、前述の通り住宅ローンの審査はそれぞれの金融機関によって審査基準が変わってきます。 たとえば、単に事業年数を見る金融機関もあり、その場合は事業を開始してから2~3年以上経過していないと審査してもらえない場合もあります。 その一方、安定かつ継続した収入を得ている自営業者であれば審査に通る場合もありますし、返済負担率が基準を満たしていれば審査に通る場合もあります。 このように、自営業の場合であっても金融機関ごとの審査基準を満たすことが必要となるわけです。 逆にいえば、審査項目さえ満たしていれば自営業者でも住宅ローンを契約できる可能性が十分にあるといえるでしょう。 ただし、税金を滞納している場合や他の借金を抱えている場合などは、融資が認められないケースも多いです。 自営業が住宅ローンの審査に通るためには ここからは自営業が住宅ローンの審査に通るために知っておきたいことを見ておきましょう。 前述の通り、自営業でも住宅ローンの審査に通る可能性はあるといいました。 しかし、それでも自営業はまだまだ審査も厳しい場合が多いです。 そのため、ここからまとめる方法を駆使して、少しでも審査合格の確率を高めましょう。 頭金を増やしてローン比率を下げる 自営業の方だけに言えることではないですが、住宅ローンの審査に通りやすくする王道の方法となるのが頭金を多く用意することにあります。 たとえば、4,000万円の住宅ローンを組む際、そのまま4,000万円を融資してもらうのと頭金を1,000万円用意して3,000万円を融資してもらうのとでは返済負担が大幅に変わります。 これは極端な例ですが、頭金を準備しておけばその分だけ借入額を減らせるわけです。 当然ながら、金融機関も返済負担率が下がれば下がるほど、審査にも通しやすくなります。 さすがに数千万円単位で頭金を貯金するのは大変ですが、夫婦で100~300万円、欲をいえば500万円前後貯蓄しておくだけでも全然違います。 特に自営業で審査に落ちそうということなら、頭金を別途で貯めておきましょう。 現在抱えている借金を減らす もし現在ほかに抱えている借金があるのなら、そちらを減らしてから住宅ローンに申し込むのもありです。 そもそも自営業者が他に借金をしている状態で住宅ローンを組もうと思っても、審査に不合格となることが多いです。 特に、別途で何かしらのローンを組んでいると、それ自体が返済負担率に影響します。 そのため、現在借金をしている状態なら、まずはそれらの借金を返済してから住宅ローンを申し込みましょう。 代表的なローンとしてはカーローンや教育ローンのほか、カードローンなどもあります。 さらに自営業の場合は事業に関わるローンやそのほかのフリーのローンも契約しているかもしれません。 これらがあるとどうしても足枷となるため、極力は完済しておくのが望ましいです。 もちろん、すべて返さなくても一部で良いので、借金を極力減らしてから住宅ローンの審査に挑みましょう。 自営業に対する特別条件がない銀行を選ぶ 金融機関によっては自営業者に対して特別条件を課しているところもあります。 それこそ事業年数が2~3年以上ないと審査すらしてくれないところもありますし、1期だけでも赤字があれば審査に落ちてしまうところもあります。 その一方、自営業者であっても特別条件なく審査してくれる金融機関もあるのです。 審査の比較的ゆるい金融機関を選ぶことによって、より住宅ローンも契約しやすくなります。 必ずしも審査がゆるくなるとは限りませんが、少なくともサラリーマンと同条件で審査してくれる金融機関もあるため、それらの金融機関を候補として選んでみてください。 特に、事業関連で融資をしてくれる信用金庫や地方銀行などは、比較的、相談に乗ってくれる可能性も高いです。 フラット35を利用する 自営業者の心強い味方とされているのがフラット35です。 フラット35というのは住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供している住宅ローンとなります。 これらフラット35は通常の住宅ローンと比べて審査が緩く、審査の際に見られる所得も1期分のみとされています。 通常の金融機関では3期分の確定申告書などが必要となるものの、フラット35は1期分だけで良いということです。 それでいてフラット35では事業用融資は借入額に含まれないとされています。 つまり、事業関連で融資を受けていたとしても、返済負担率を圧迫することがないのです。 これはそのまま審査の通りやすさを意味します。 さらにフラット35は団体信用生命保険などへの加入も任意となっているため、総じて自営業者のハードルが低いといえるでしょう。 そのため、もし通常の住宅ローンに通りそうもない場合はフラット35など他の融資についても考えてみてください。 自営業にはフラット35がおすすめ 自営業で通常の住宅ローンを契約するのは、あまり現実的ではありません。 最初からフラット35を選ぶというのも選択肢としておすすめです。 フラット35であれば、前年度の収入と契約の借入額のバランスに問題がなければ審査に通りやすいです。 近年はフリーランスとして開業して、翌年に家を買うという人もいるかもしれません。 その場合、フラット35なら開業して1年未満でも申請可能となっているため、余計なところでつまずくこともありません。 事業年数が1年未満の場合は365日で日割り計算して年収を割り出すため、数ヵ月の収入であっても審査に通る可能性があります。 そういった点から見ても自営業にはフラット35がおすすめだといえるでしょう。 ただし、必ずしもメリットだけではなくデメリットもあるので、次の項目も併せて確認しておいてください。 フラット35利用の場合の注意点 フラット35で契約する場合、いくつか注意点もあります。 自営業者がフラット35を申し込む際の注意点も確認しておきましょう。 1.返済負担率に注意 通常、返済負担率は年収400万円を境に30~35%までと定められています。 これらの返済負担率を超えるような返済計画は破綻する可能性があります。 フラット35では直近の所得で審査が行われるため、一見すると審査に問題なく通過したように思ってしまうかもしれません。 しかし、実際には返済負担率がギリギリで後後になってから返済が困難となることもあるため、慎重な返済計画が必要です。 できれば返済負担率は20~25%、欲をいえば10~15%となるように設定すべきです。 そこはフラット35も通常の住宅ローンも同じですが、とにもかくにも無理なく完済できる返済計画を立てていくことが重要です。 2.融資額に注意 フラット35では物件に応じた金額をそのまま融資してもらえる場合もあるのですが、原則として9割融資とされています。 つまり、本来は4,000万円の融資を受けたくても、実際には3,600万円までしか借りられないこともあるわけです。 その影響で物件によっては少し手が届かないこともあるため、自己資金を貯めておくことも必要です。 ある程度の自己資金があればより一層融資も受けやすくなりますし、返済計画も無理のない範囲で立てていけます。 3.税金滞納に注意 自営業者の中には税金を滞納している人もいるかもしれません。 その場合、融資を断られることがあります。事実、税金の滞納が続けば財産差し押さえが決定し、所有している物件を含めた資産が差し押さえられてしまうことになります。 これら税金による差し押さえはほかの債権者よりも優先されるため、フラット35でも警戒されるわけです。 当然ながら税金の未納もアウトです。 フリーランスになったにも関わらず、確定申告が必要であることを知らない人もいます。 その場合もフラット35は通らないと思っておきましょう。 そもそもフラット35でも通常の住宅ローンでも、自営業者は確定申告書の提出が求められます。 そのため、必ず確定申告をして納税も済ませる必要があります。 4.修正申告に注意 巷では住宅ローンの審査に通ろうとするあまり、修正申告を行って所得を高く見せる手法が出回っています。 たしかに、修正申告によって所得を高くすれば、フラット35などのように1期分の年収で判断する金融機関は騙せるかもしれません。 しかし、虚偽の修正申告は必ず発覚します。 そもそも所得を高く見積もって申告すれば、無駄に税金を払うことにもなります。 そのため、いくら審査に通りたいからといって、故意に修正申告を行うことは避けましょう。 まとめ 自営業の方は住宅ローンも確かに通りづらいです。 それは、サラリーマンに比べて安定かつ継続した収入がないと判断されるためです。 しかし、自営業だからという理由で落とされるわけではなく、きちんと返済計画を入念に立てれば融資を受けられます。 それだけでなく、フラット35など自営業にも優しい住宅ローンが存在します。 自分に合った住宅ローンを見つけるためにも、金融機関選びはもちろん借り入れ方法についても精査してみましょう。 そうすれば自営業であっても住宅ローンを契約することは可能です。
2022.07.05
住宅を取得する際、頭金が絶対必要かどうかを気にしている方も多いのではないでしょうか。 土地を購入して建物を建築するとなると数百万円単位、数千万円単位でお金が必要となります。 それらをすべて現金で用意できる方はあまりいないため、多くの方は住宅ローンを組むという選択肢を選びます。 しかし、それら住宅ローンの負担を少しでも減らしたいということなら、頭金を用意しておくのがおすすめです。 今回の記事ではそれら頭金として準備すべき金額目安はもちろん、貯金しておくメリット・デメリットについても解説します。 頭金がなくてもそこまで問題はないものの、やはりあった方が安心なので、余力がある方は今からでも備えられるよう、計画を進めておきましょう。 頭金とは? 夢のマイホームを手に入れる時、多くの方は住宅ローンを組みます。 住宅ローンとは金融機関から融資を受けることなので、返済することが前提となります。 あらかじめ貯金しておけば、それを頭金として活用可能です。 頭金というのは自己資金として支払う分のことで、頭金を多く用意すればするほど住宅ローンの負担も減ります。 また、家を取得する際は単に着工金や中間金や竣工金だけではなく、税金や手数料などもかかります。 これらの諸費用は原則現金で払うものとされ、それらの観点からも現金で貯金しておくことが必要です。 もちろん、頭金がなくとも住宅ローンは組めるのですが、頭金があることによって享受できるメリットもあります。 だからこそ、貯蓄や投資をする余裕があれば、頭金に回すということも考えておくことがおすすめです。 頭金の目安は? では、頭金はどれくらい準備しておくのが良いのでしょうか。 これに関しては人によって取得予定の住宅が異なるため、厳密な数字では表現が難しいです。 しかし、世間一般では「1~2割」を備えておくべきだといわれています。 つまり、住宅ローンを3,000万円ほど融資してもらうということなら、300~600万円はあった方が良いということです。 しかし、人によって頭金の目安というのは変わってきます。 仮に年収が低く今後も上がりそうにない方の場合、頭金を少しでも多く用意して住宅ローンの返済額を下げるのが理想といえます。 逆に年収が高く今後も下がることがない方は、頭金が少なくても問題はありません。 実際に頭金が200万円未満という方も少なくありませんし、逆に200~600万円という方も少なくありません。 欲をいえば600~1,000万円ほどは貯金しておきたいのですが、若い夫婦の場合現実的ではないでしょう。 なかには1,000~1,500万円以上も用意している方がいるのですが、必ずしもそこまで準備すべきとはいいません。 あくまでも頭金は今の生活を壊すことのないように貯めていくのがセオリーです。 無理に貯金に回して普段の生活が回らなくなってしまっては本末転倒です。 目安こそ1~2割といわれているものの、無理のない範囲で貯めましょう。 仮に頭金が0円であっても融資にすべて落ちるということは稀なので、「必要であれば備えておく」という感覚でも十分です。 ただし、頭金があればあるほど住宅ローンの返済総額は減りますし、毎月返済額も減ります。 経済的負担を考慮するなら、頭金はあった方が良いという結論に至るでしょう。 頭金を多く用意するメリット では、具体的に頭金を多く用意するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。 基本的に頭金を用意するデメリットはありません。 たくさんの現金があれば選択肢も増えますし、何より住宅ローンを組んでも生活基盤が崩れることもありません。 ただし、具体的な数字で見ないと実感も湧かないので、ここでは頭金を用意することによってどれくらい経済的負担が減るのかという点をまとめます。 1.借入額4,000万円、適用金利1.4%、返済期間35年の場合 仮に借入額4,000万円の場合、頭金を用意していないと毎月返済額は12万523円となります。 逆に頭金を800万円ほど準備できる場合、借入額を3,200万円まで抑えられて毎月返済額も9万6,419円となるわけです。 その差は、実に約2万4,000円以上となる計算です。 返済総額に関しても頭金がない場合は約5,062万円となるものの、頭金が800万円あれば約4,850万円まで抑えられる計算となります。 つまりは頭金が800万円あるだけで、合計約212万円の差が生まれるわけです。 これが1,000万円の頭金となればその効果はより大きくなり、半額の2,000万円まで頭金とすればその効果は計り知れません。 もちろん、これはあくまでも一例に過ぎないのですが、頭金を準備するだけで得られる効果が大きいことはわかっていただけたはずです。 2.借入額3,500万円、適用金利1.0%、返済期間35年の場合 もう1つの例でも見てみましょう。 仮に借入額3,500万円の場合、頭金を100万円用意しておくと借入額は3,400万円となり、毎月返済額が9万5,977円、返済総額が約4,031万円となります。 これを頭金700万円まで準備したとすると借入額は2,800万円となり、毎月返済額が7万9,039円、返済総額が約3,319万円となります。 一見するとそこまで差がないように思えるかもしれませんが、それでも毎月約1万7,000円の差は大きいです。 もちろん、元利均等返済なのか元金均等返済なのかなど、返済方法によっても違いが生まれるものの、合計で見るとその差は歴然といえるでしょう。 近年は低金利時代が長らく続いているので、頭金の効果はそこまで大きくないといわれています。 しかし、それでも住宅ローンは数百万円数千万円という単位で契約するため、少しでも借入額は少なくできるのが理想です。 頭金の注意点 頭金はただ貯めておけば良いというものではありません。 それこそ普段の生活を削ってまで頭金を捻出する必要はありません。 そのほかにもいくつか知っておきたい注意点があります。 最後にそれら頭金の注意点についてお伝えしましょう。 支払いタイミング 頭金を支払うタイミングは「契約締結日・融資実行日」となります。 そのため、実際に家を契約すると決めて、引き割らされた時に支払うのが一般的ということです。 しかし、新築住宅の場合はそのケースが多いですが、中古住宅などは申し込みの段階で手始めに10万円ほど現金が必要となることがあります。 これはマンションやアパートでも同様です。 さらに、その後に頭金とは別の手付金を物件価格の0.5~1割ほど支払わなくてはなりません。 つまり、それらも含めて頭金を用意しておかないと間に合わないわけです。 そのため、頭金を支払うタイミングがいつなのかをあらかじめ確認しておく必要があります。 特に詳細を聞いていない場合は、契約する工務店・ハウスメーカー・金融機関に事前に聞いておくと安心です。 諸経費も忘れないように ここまで頭金について知ると手持ちの自己資金をすべて頭金にしておいた方が良いと考える人もいるかもしれません。 しかし、それはおすすめできません。 なぜなら住宅の契約時や引き渡し時には税金や手数料がかかるためです。 不動産業者に仲介してもらった場合は仲介手数料がかかりますし、金融機関で住宅ローンを組む場合は借入手数料などもかかります。 そのほかにも印紙税などがかかるため、頭金を用意する際は諸経費も忘れてはなりません。 なかでも税金や手数料は意外と重荷となるので、頭金のほかに1割ほど準備しておくのが安心です。 頭金を用意しないリスク なかには頭金を用意しなくても良いと考えている方がいるかもしれません。 これに関しては頭金を用意せずとも住宅ローンは組めるので、普通に働いている方であれば問題はないといえるでしょう。 しかし、逆に頭金を準備していないことで想定されるリスクもあります。 まず、頭金をまったく貯めていないと借入額が増えてしまいます。 逆に借入額が高くても頭金があれば低くできるということです。 これは前述の通りなのですが、当初は4,000万円融資してもらう予定であったものの、頭金を1,000万円用意しておけば3,000万円の融資で済みます。 これらは単純に返済総額を減らすことにつながりますし、何より利息の影響も避けられます。 借入額が大きければ大きいほど利息の影響も大きいため、頭金がないとすべての利息を払わなければならない状況になります。 また、仮に住宅ローンの支払いが困難となった場合は金融機関が対象の物件を取得して売却するのですが、それでも住宅ローンが完済できない場合もあります。 そうなった場合、不足分の返済を求められてしまいます。 当然ながら、住宅ローンの支払いが困難な状態で不足分を求められても、対応できない方も多いでしょう。 仮に物件が新築であっても売却するとなると中古の扱いとなるため、8割程度まで価値が下がってしまいます。 頭金がない状態で契約すると、それら不足分の支払いが生じた際に生活そのものが立ち行かなくなってしまうこともあるわけです。 だからこそ、頭金は用意できるのならしっかり準備しておくのがおすすめといえます。 ただし、大切に貯めてきた貯金すべてを頭金に回すのは避けましょう。 あくまでも頭金は余力がある人だけ貯めておくもので、日常を削ってまで貯金するものではありません。 それでも頭金が多いことに越したことはないので、収入と支出について今一度見直しながら計画を立てていきましょう。 まとめ 頭金は絶対必要とはいえません。 しかし、不要なのかといえば、そうともいえません。 むしろ頭金があることで住宅ローンの返済総額を減らせるだけでなく、毎月返済額も減らせます。 単に借入額が減るため、金利による影響も下げられるのです。 その点も加味して考えると、結論としては頭金を用意しておいた方が良いとなるでしょう。 ただ、いきなり1,000万円も2,000万円も貯金するというのは難しい話なので、夫婦で150~300万円ずつ、合計300~600万円ほどは貯めておいた方が良いでしょう。 借入額に対して1~2割を目安に考えて貯めるところから始めてみましょう。
2022.07.05
土地や建物などの不動産を取得した際にかかる税金、それが不動産取得税です。 たとえば、家を取得する際、土地と建物を合わせて取得することが多いですが、その場合は土地にも建物にも不動産取得税がかかるわけです。 その反面、不動産取得税については「いまいちわからない」という方も少なくありません。 今回の記事では、不動産取得税について初めて知ったという方のために、不動産取得税がどのような税金なのかをわかりやすく解説します。 不動産取得税の計算方法だけでなく軽減方法についても説明するので、これから家を取得しようと考えている方は、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。 不動産取得税とは? そもそも不動産取得税とはどのような税金なのかというと、土地や建物などを含む不動産にかかる税金です。 不動産に関する税金としては固定資産税など継続してかかる税金などがありますが、不動産取得税に関しては文字通り不動産を取得した際にかかる税金となっています。 不動産取得税は、入居してからしばらくすると納税通知書が送付されてくるため、それに従って支払うのが普通です。 しかし、各自治体から納税通知書が届いているにも関わらず放置してしまう方もおり、無意識のうちに脱税となってしまっているケースもあります。 特に、入居時は引っ越しや手続きなどの関係でドタバタしていることが多く、納税に関しては完全に忘れてしまっている方もいます。 しかし、これら不動産取得税は各都道府県の税務署で納税しなくてはならず「忘れていた」では済まされません。 土地や建物などを取得した場合は、必ず納税通知書が送られてきていないかどうかを確認しましょう。 不動産所得税を支払うケースは? では、不動産取得税はどのような方が支払うべきなのでしょうか。 これに関しては以下の表を目安に考えてみましょう。 ここでは、不動産取得税がかかるケースとかからないケースについて、わかりやすくまとめます。 不動産取得税が かかるケース ・土地を取得した場合・建物を取得した場合 ・店舗を取得した場合 ・オフィスを取得した場合 不動産取得税が かからないケース ・相続によって取得した場合・合併によって取得した場合 ・公共のために取得した場合 不動産取得税はその名の通り、不動産を取得した場合に税金がかかります。 たとえば、前述の通り土地や建物を取得した場合には不動産取得税がかかるわけです。 それだけでなく、店舗やオフィスとして不動産を取得した場合も原則は不動産取得税がかかります。 逆に、相続によって取得した場合や合併によって取得した場合は、不動産取得税が課せられない仕組みとなっています。 当然ながら、公共のために取得した場合も不動産取得税はかからないので、そこは不動産取得税の支払いが必要なケースに当てはまるかどうかを考えなくてはなりません。 不動産取得税の税率と軽減措置 ここからは不動産取得税に適用される税率と軽減措置について見ていきましょう。 不動産取得税の税率 ・不動産取得税=課税標準額×4% 不動産取得税の税率に関しては原則4%となります。 以前までは特例が適用されたこともあって、2021年3月31日までに取得した土地と建物に限り税率3%と定められていました。 その一方、2021年4月1日からは通常通り4%が標準税率とされ、それらの税率を軸にして不動産取得税を割り出すことになります。 新築の軽減措置の適用条件と軽減措置 土地を取得して3年以内 床面積50~240m2 新築の場合、以上が軽減措置を受けるための条件となります。 これらの条件に当てはまる場合、以下の軽減措置が適用されます。 ・建物の不動産取得税=(課税標準額-控除額1200万円)×税率4% ・土地の不動産取得税=課税標準額×特例1/2×税率4%-控除額 新築であれば、以上の計算式によって不動産取得税を計算できるわけです。 建物の場合は条件を満たすことによって最大1,200万円の控除を受けられます。 また、これは一般住宅での話であり、長期優良住宅となると最大1,300万円の控除が受けられます。 そのため、有効活用すれば、かなりの節税効果が見込めるでしょう。 土地の場合は条件を満たすことによって最大4万5,000円の控除を受けられます。 もしくは、土地1m2当たりの評価額を1/2にして計算した分を控除できます。 どちらか多い金額が不動産取得税の税額から控除されるため、こちらも適用次第では節税効果もかなり見込めるのではないでしょうか。 中古の軽減措置の適用条件と軽減措置 自身の居住用もしくはセカンドハウス用 土地の取得前後1年以内 床面積50~240m2 1982年1月1日以降に新築された建物(または新耐震基準の適合を証明された建物) 中古の場合、以上が軽減措置を受けるための条件となります。 これらの条件に当てはまる場合、以下の軽減措置が適用されます。 ただし、中古の不動産は完成した年ごとに控除の金額が変わるので、次の表も参考にしておいてください。 完成した年 控除金額 1997年4月1日~ 1,200万円 1989年4月1日~1997年3月31日 1,000万円 1985年7月1日~1989年3月31日 450万円 1981年7月1日~1985年6月30日 420万円 1976年1月1日~1981年6月30日 350万円 1973年1月1日~1975年12月31日 230万円 1964年1月1日~1972年12月31日 150万円 1954年7月1日~1963年12月31日 100万円 中古の不動産は経過した年数ごとに控除される金額も下がるため、古くなればなるほど控除される金額が低くなることを覚えておかなくてはなりません。 不動産所得税の計算方法 ここからは具体的な不動産取得税の計算方法について見ていきましょう。 特に、ここでは控除に該当する場合と該当しない場合の両面から試算していくので、ぜひ両方のパターンも加味して考えてみましょう。 なお、計算式に関しては前述したものに当てはめていくだけなので、難しいことはありません。 ただし、ここではわかりやすくするために土地と建物の課税標準額を2,000万円とします。 控除に該当する計算例 ▼建物の計算式と控除 ・建物の不動産取得税=(2,000万円-控除額1,200万円)×4%=32万円 ・控除額=1,200万円 ▼土地の計算式と控除 ・土地の不動産取得税=2,000万円×1/2×4%=40万円 ・控除額=4万5,000円 ・控除額=(1m2あたり20万円×1/2)×(90m2×2)×4%=72万円 建物が2,000万円で控除に該当する場合は、不動産取得税が32万円となります。 土地が2,000万円で控除に該当する場合は、不動産取得税が40万円となります。 仮に建物に関しては課税標準額が1,200万円以下だった場合、控除によって不動産取得税も発生しません。 土地に関しても特例があるため、場合によっては不動産取得税が発生しなくなります。 その場合は72万円が控除の金額となるため、建物だけではなく土地の不動産取得税も0円ということになります。 このように特例を活用することで両者の不動産取得税がかからなくなる場合もあるため、自身が控除に該当するのかどうかについても確認しておきましょう。 なかでも、土地はかなりの節税効果が得られるため、確実に控除を適用させたいところです。 控除が該当しない計算例 ・建物の不動産取得税=2,000万円×4%=80万円 ・土地の不動産取得税=2,000万円×1/2×4%=40万円 建物も土地も控除に該当しない場合は、不動産取得税が120万円となります。 これらは不動産が持つ価値、いわゆる課税標準額によって大きく左右されます。 たとえば、ここでは2,000万円を基準としていますが、これが4,000万円だった場合は240万円の不動産取得税がかかるわけです。 このように、取得する不動産の価値によって不動産取得税も大幅に変動するため、どれくらいになるのか予測しておく必要があります。 不動産取得税の存在を知らずに何もかからないと勘違いしていると、入居後に届く納税通知書によって冷や汗をかくことになるかもしれません。 それも金額によっては数十万円~数百万円に及ぶこともあるため、不動産を取得する場合は必ず不動産取得税がかかるかどうか試算しておきましょう。 どうすれば軽減が受けられる? 最後に不動産取得税の軽減措置を受ける際、どのような手続きが必要となるのかについても把握しておきましょう。 基本的には、取得した不動産を管轄する税務署に申請することで、軽減措置を受けられます。 特に必要書類さえ提出すれば、軽減措置もすぐに適用されます。 ただし、これら軽減措置を受ける際は条件ごとにも異なるため、以下それぞれの条件についても把握しておきましょう。 ▼新築住宅で保存登記されている場合 不動産取得税の納税通知書 土地・住宅の売買契約書(住宅引渡証書) 住宅の登記事項証明書(もしくは登記簿謄本) ▼新築住宅で所有権移転登記の場合 不動産取得税の納税通知書 土地・住宅の売買契約書(住宅引渡証書) 住宅の未使用証明書 住宅の登記事項証明書(もしくは登記簿謄本) ▼新築住宅で未登記の場合 不動産取得税の納税通知書 土地・住宅の売買契約書(住宅引渡証書) 住宅の(建築完了)検査済証 住宅の確認済証(建築確認通知書)と確認申請書副本の第2面から第4面 ▼中古住宅を取得した場合 不動産取得税の納税通知書 土地・住宅の売買契約書(住宅引渡証書) 住宅の登記事項証明書(もしくは登記簿謄本) 市町村長の「住宅用家屋証明書」 以上のように不動産の条件ごとに軽減措置の必要書類も違ってきます。 場合によってはほかの書類が求められることもあるため、詳しくは管轄の税務署に問い合わせてみましょう。 まとめ 不動産取得税は文字通り、不動産を取得した際にかかる税金です。 一般の方であれば家を取得した際に不動産取得税がかかると覚えおきたいところです。 ただし、不動産の課税標準額によっては控除額内に収まることもあり、不動産取得税がかからないケースもあります。 その場合は納税通知書も送られてきません。 その一方、多額の不動産取得税がかかるパターンもあるので、税務署だけではなく税理士など税金の専門家にも相談してみましょう。
2022.06.30
夢のマイホームを建てるからには「理想を詰め込んだ最高の家にしたい」と思うのは当たり前のことかもしれません。 自身の要望を叶えられる住宅、それが注文住宅です。 しかし、注文住宅は基本的に土地と建物を別途で契約するため、どちらから先に決めるべきなのかわからなくなってしまう方もいたりします。 施工会社によっても条件が変わるため、慎重に判断しなくてはなりません。 今回の記事では、注文住宅を作る際、土地と建物はどちらを優先すべきなのかについて解説します。 本来であれば、担当してくれる施工会社にも相談すべきなのですが、まずは当記事を読んで、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ておきましょう。 ここでは専門用語などは使わずにわかりやすくまとめるので、これから注文住宅を依頼したいという方は、ぜひ参考にしていただけると幸いです。 土地と施工会社のどちらから決めれば失敗しないのか? 注文住宅において土地と建物、どちらを先に決めるべきなのかというのは一概に判断するのが難しいです。 仮に土地を先に決めるとはいっても、そもそも自分たちが住みたい土地がどこなのかによって空き状況も変わってきます。 また、実際に手が届くくらいの土地代なのかどうかでも変わってしまいます。 逆に建物を先に決めるとはいっても、そもそも施工会社がたくさんあって決めかねる場合も多く、どのような建物にしたいのかもそれぞれ変わってきます。 そのため、土地を優先すべきなのか建物を優先すべきなのかは状況によって変わってくるわけです。 ただ、多くの場合は施工会社を優先した方が良いといわれています。 もちろん、施工会社を優先するあまり、周辺環境が劣悪な地域を選んでしまっては本末転倒です。 しかし、施工会社によっては「うちに注文してくれるなら建物だけではなく土地も案内できます」と打診してくれるところもあるのです。 そのため、土地よりは建物、施工会社の方を優先した方が良い結果になりやすいといえます。 もちろん、どちらを選ぶべきかに正解不正解はありません。 どうしても住みたい土地があるのなら土地を優先する方が良いです。 逆に、どうしても建物にこだわりたいなら、理想の建物を立ててくれる施工会社を優先する方が良いです。 結論としては自身の将来設計も含め理想の家がどういったものなのか、何週間、何ヵ月とかけて考えていくのがベストといえます。 土地を優先するメリット・デメリット ここからは土地を優先するメリット・デメリットについて見ていきましょう。 土地を優先するメリット 以下、土地を優先するメリットです。 ▼理想の地域を選べる 誰しも「ここに住んでみたい」という土地があるものです。 自分が育ってきた地元に暮らしてみたいという方もいれば、思い切って知らない場所で暮らしてみたいという方もいるはずです。 理想の地域というのは人によって違うため、どうしても住みたい地域があるということなら、土地を優先した方が良いですしょう。 土地を優先すれば「海が見える町に住む」「森に囲まれた町で暮らす」など、理想の生活も思い描きやすいです。 ▼周辺の環境に恵まれる 土地を優先すれば周辺の環境にも恵まれます。 たとえば、地域によっては教育機関や医療機関が充実している地域もあれば、そうでない地域もあります。 当然ながら、そのほかにも商業施設が多いかどうか、交通機関が通っているかどうか、コンビニやスーパーがあるかどうかなど、周辺の環境で快適な暮らしになるかどうかが左右されます。 そういった意味では土地を優先した方が、周囲にも恵まれやすいです。 ▼近所の関係も楽 新たに住宅地として開発されている新興住宅地には、新たに引っ越してくる人が居住します。 そのため、古くからその地で暮らしている人もいません。 近所との関係も比較的楽に構築できます。 もちろん、引っ越してくる人がどのような人なのかは予測できませんが、同じようなタイミング引っ越してきた人同士であれば、近所付き合いも良好に築きやすいかもしれません。 これは数年、数十年と住み続ける上で、とても重要な要素といえます。 土地を優先するデメリット 以下、土地を優先するデメリットです。 ▼予算を超過するかもしれない 一般的には、やはり都会の土地は高く、田舎の土地は安い傾向にあります。 当然ながら発展している地域でより良い暮らしを送ろうと思えば、土地もそれなりの値段となることを覚悟しなくてはなりません。 特に、家の費用は当初の予算より膨らみやすいため、土地を優先すると予算を超過してしまう可能性が出てきます。 ▼条件が指定されるかもしれない 自分自身で土地を見つける際、その土地ごとに設定されている条件(建物の高さ制限など)を知らずに取得してしまうこともあるかもしれません。 また、いざ建物を建てる状況になってから新たに条件が指定されることもあります。 そのため、どのような建物にするべきなのかも同時進行で考えておかなくてはなりません。 ▼健康の被害が出るかもしれない 住んでみたいと思う土地に予算の多くを割いてしまうあまり、建物を最低限のものにしてしまうという方もいます。 しかし、当然ながら素材を選ばずに安価なものだけで構築してしまうと健康被害が出ることもあります。 もちろん、建物に使用される素材は人体に影響のないものが使用されていますが、どうしても人によって相性があるわけです。 素材によっては拒絶反応が出ることもあるので、そこは土地だけではなく建物へのこだわりも大切にしましょう。 施工会社を優先するメリット・デメリット ここからは施工会社を優先するメリット・デメリットを見ていきましょう。 施工会社を優先するメリット 以下、施工会社を優先するメリットです。 ▼予算を調整できる 施工会社を優先すれば予算も調整しやすいです。 実際に建物というのはこだわればこだわるほど高くなってしまいますが、逆に節約すれば予算も抑えられます。 立地にこだわるのであれば土地を優先すべきですが、やはり実際に生活を送るのは建物の中となるため、自身に合った家作りを中心に進めていくのが良いでしょう。 それが夢のマイホーム作りにつながっていきます。 ▼理想の設計にできる 建物は人によって理想とするものが異なります。 たとえば、家の向きからして好みが分かれますし、間取りもそれぞれ好みが大きく分かれてしまうわけです。 当然ながら、土地を先に決めてしまってはその範囲内で作らなくてはならないため、理想を詰め込むどころではありません。 逆に、建物を優先すればある程度は要望を叶えられます。 施工会社によっては自社で案内できる土地も用意できるため、それに合わせた設計ができるのも強みといえるでしょう。 ▼素材も選択できる 建物に取り入れる素材も選べるのが施工会社を優先する魅力と言えます。 実際に建物にどのような素材を取り入れるかによって、家そのものの印象が大きく変わるわけです。 たとえば、木造なのか鉄筋コンクリート造なのかで雰囲気は異なるほか、単に居住する際の快適性も変わります。 通気性はもちろん採光性、耐久性などそれぞれの性能というのも変わってくるでしょう。 施工会社を優先すればそれら素材も選択しやすいため、より自分の体質に合わせた家作りも実現可能です。 施工会社を優先するデメリット 以下が、施工会社を優先するデメリットです。 ▼計画が頓挫するかもしれない どれほど理想の住宅を思い描いても、土地がないことには始まりません。 施工会社が案内してくれる土地で決めてしまうのなら良いのですが、建物だけではなく土地も自分で決めたいとなるとハードルはかなり上がってしまいます。 理想とされる土地はすでに売れていることも多く、建物の計画だけは完璧なのに肝心のそれを建てる土地が見つからないということもあるのです。 そうなれば、計画自体が頓挫する可能性も否めません。 ▼生活が不便になるかもしれない どうしても住環境にこだわりたい場合は建物を優先すべきですが、土地を適当に選んでしまうと生活で不便を感じることも多くなります。 仮に電車もバスも通っていないような土地であれば、車が必須となってしまいます。 車を持つことに抵抗がないなら良いのですが、それら移動手段が限られる地域というのは総じて周辺環境も整っていないケースが往々にしてあります。 実際に暮らすイメージを持って建物と土地の両方を選びたいところです。 ▼売却に影響が出るかもしれない 土地をないがしろにするあまり、売却する際に影響が出てくることもあります。 建物というのは経年劣化によって老朽化が進むと、当然ながら資産としても価値も下がってしまいます。 なかには数千万円で取得した家が、数年後数十年後には数百万円にまで暴落していることもあるわけです。 このように、土地も適当な場所を選んでしまうと、リセールバリューも期待できません。 ライフスタイルの変化でいずれ家を売却すると考えているのなら、土地と建物の両方で価値を保てるような将来設計をしたいところです。 建築会社を先に決めるのが良い理由 ここまで土地と建物のどちらを優先すべきなのかまとめてきたわけですが、結論をいうとどちらも気を抜かずに選ぶのが理想といえます。 しかし、強いてどちらか一方を選ぶということなら、建築会社から選んだ方が良いかもしれません。 前述の通り、建築会社によってはより良い土地を案内してくれるところもあります。 そのため、先に土地を決めてしまっていると建築会社が把握している好条件の土地を逃してしまうことになるのです。 むしろ、それらの建築会社を選べば、その土地に合った最適な建物を建ててくれるので、より失敗も防げるわけです。 どうしても暮らしてみたい土地があるのなら別ですが、まずは大雑把に地域を決めて、そこに根差している建築会社から選びましょう。 そうすれば自ずと理想の土地も見えてきますし、こだわりを詰め込んだ建物も作れるようになります。 まとめ 注文住宅は土地も建物も自分で選べる反面、どちらから先に決めていくべきなのか迷ってしまうことも多いです。 実際に土地から決める人もいれば、建物から決める人もいます。 しかし、総じて施工会社を先に決めてから計画していった方が良いといわれています。 なぜなら、建築会社によって用意できる土地などもあるため、より好条件の地域に建物を建てられる可能性があるためです。 こればかりはどこに依頼するかによっても違ってくるので、まずは地元密着型の工務店やハウスメーカーを見つけて相談してみましょう。 var raclear_company = "nagomi-koumuten";var raclear_campaign = "231101_tochi";var raclear_width = "auto";var raclear_height = "auto";
2022.06.30
不動産取得税は、読んで字の如く、不動産を取得した際に課せられる税金です。 これらは固定資産税と混合して考えてしまう方も多いですが、結論をいうと別物となります。 しかし、不動産取得税については「いまいちわからない」という方がいるのも事実です。 そこで今回の記事では不動産取得税とは何かということはもちろん、計算方法や軽減方法についてわかりやすく解説します。 特に、ここでは不動産取得税を支払うケースやどうすれば節約できるのかなど、シーンごとに詳しく説明します。 ぜひ、これから土地や建物の取得を考えている方は、最後まで読んで不動産取得税に備えましょう。 不動産取得税とは? まずは不動産取得税とは何かということですが、これは文字通り不動産を取得する際に課せられる税金となります。 固定資産税と混合しがちですが、固定資産税はそれぞれの固定資産についてかかる税金です。 一方で不動産取得税は不動産を取得した際にかかる税金です。 両者は似て非なるものなので、その特性についても正しく理解しておくべきでしょう。 これら不動産取得税は土地や建物を売買した際に課せられるほか、贈与や交換によって取得した際にも課せられます。 それだけでなく新築や改修によって家屋を新たに取得した際などにも課せられるため、とにもかくにも不動産を取得した際にかかる税金、それが不動産取得税だと覚えておきましょう。 しかし、不動産取得税は都道府県ごとに課せられる税金の一種なので、自身が居住する自治体によって取り扱いが変わる可能性があります。 条件によっては納税額にも差が出る可能性があるため、自身でも把握できるようにしておきたいです。 ただし、不動産取得税は支払うべきケースとそうでないケースがあるため、次の項目にも目を通しておきましょう。 不動産所得税を支払うケースは? では、不動産取得税はどのような場合に課税されるのでしょうか。 これに関しては前述の通り、土地や建物などの不動産を取得した際に支払うのが一般的です。 主に一般の住宅であれば課税対象となります。 建売住宅にしても注文住宅にしても、分譲集合住宅にしても不動産を取得した際には原則として不動産取得税がかかるわけです。 なお、これらはオフィス用や店舗用として取得する不動産にも課せられます。 一般住宅以外であっても不動産を取得した際には課税されると覚えておきましょう。 しかし、例外もあって不動産取得税が課せられない場合もあります。 たとえば、不動産の取得目的が公共のためである場合や法人合併のためである場合には、不動産取得税を支払う必要がありません。 相続などでも同様です。このように条件次第では不動産取得税を支払わなくても良い場合があるので、その点は自身がどちらの条件に該当するのかを考えなくてはなりません。 不動産取得税の標準税率と軽減措置 不動産取得税にはそれぞれ税率が設定されているのですが、そのほかに軽減措置も用意されています。 さらにいえば税金の控除なども用意されているので、しっかりと対策をすれば多額の税金を回避できます。 まずは以下の税率と軽減措置について目を通しておきましょう。 土地の標準税率 4%(原則) 建物の標準税率 4%(原則) 以上のことからもわかるように不動産取得税の標準税率は原則として4%と設定されています。 これはどのような不動産であっても一定となります。 そのため、都会の土地を購入しようが田舎に建物を建築しようが、それぞれ4%を軸に計算されるわけです。 ただし、例外として軽減措置を受けられる場合もあります。 その場合は以下のようになります。 土地の軽減措置 3%(評価額=1/2) 建物の軽減措置 3% 以上のように軽減措置を受けた場合は標準税率も3%に変更されます。 さらに土地の評価額は1/2となります。 建物はそれらの特例がないのですが、軽減措置を活用すれば大幅に不動産取得税を節約できるのは間違いありません。 さらに新築住宅と中古住宅それぞれに軽減措置が用意されており、そちらも活用することでより節税効果を見込めます。 どちらも物件の負荷面積が50m2以上240m2以下であることが条件となるのですが、適用できれば多額の税金を節約できます。 新築住宅の場合 新築住宅の場合は以下のような軽減措置が用意されています。 新築の軽減措置 1,200万円(一般住宅) 〃 1,300万円(長期優良住宅) 以上、新築住宅の場合は一般住宅で1,200万円、長期優良住宅で1,300万円の軽減措置を受けられます。 これは課税対象となる住宅から差し引くことのできる金額となるため、節税効果はかなり大きいです。 中古住宅の場合 中古住宅の場合は以下のような軽減措置が用意されています。 中古の軽減措置 100万円(1954年7月1日~1963年12月31日) 〃 150万円(1972年12月31日以前) 〃 230万円(1975年12月31日以前) 〃 350万円(1981年6月30日以前) 〃 420万円(1985年6月30日以前) 〃 450万円(1989年3月31日以前) 〃 1,000万円(1997年3月31日以前) 〃 1,200万円(1997年4月1日以降) 以上、中古住宅の場合は完成した時期によって軽減措置が異なります。 主に条件によって100~1,200万円の軽減措置を受けられるため、取得する不動産がいつ完成したものなのかを知ることが必要です。 それによっては数百万円以上の差も出てくるため、完成した時期を把握して節税効果を狙いましょう。 不動産所得税の計算方法 次に不動産取得税の計算方法について見ていきましょう。 まずは以下にて不動産取得税の計算式を把握するとわかりやすいです。 ・不動産取得税=課税標準額×標準税率(4%) 以上の計算式に自身が取得する不動産を当てはめて考えるとすぐに計算可能です。 不動産取得税の計算式は共通なので、土地でも建物でも同様の計算が可能となっています。 ただし、不動産によって評価額が異なるため、その点には注意が必要となってくるでしょう。 たとえば、土地と建物はそれぞれ評価額というものが設定されており、土地が4,000万円で建物が3,000万円というような状況になりかねません。 その場合、それぞれの評価額に標準税率の4%をかけて計算します。 ちなみに、不動産取得税の標準税率に関しては土地であっても建物であっても原則4%とされています。 ・土地の不動産取得税=4,000万円×4%=160万円 ・建物の不動産取得税=3,000万円×4%=120万円 ただし、不動産取得税には特例があり、条件によって標準税率も変わるのが特徴です。 たとえば、軽減措置の条件を満たしている土地であれば、評価額が1/2となります。 さらに標準税率も3%となります。 建物も軽減措置の条件を満たせば、評価額はそのままであるものの標準税率が3%となるのです。 そのため、軽減措置を活用すれば標準税率が1%分節約できるわけです。 それらを踏まえて、仮に土地が4,000万円で建物が3,000万円の評価額、それぞれ軽減措置を受けられるケースの計算式を見てみましょう。 ・土地の不動産取得税=4,000万円×1/2×3%=60万円 ・建物の不動産取得税=3,000万円×3%=90万円 以上のような計算方法によって不動産取得税を求められます。 しかし、実はこれらの軽減措置の他に控除なども受けられる可能性があるため、どのような控除が受けられるかも把握しておくべきです。 特に、不動産取得税は新築住宅の場合と中古住宅の場合で軽減措置も変わるため、それぞれをフル活用できるよう理解しておくことが重要です。 たとえば、同条件で新築だった場合と中古だった場合は、以下のような計算式となります。 ・新築(一般住宅)の不動産取得税=(3,000万円-1,200万円)×3%=54万円 ・中古(1997年3月31日以前)の不動産取得税=(3,000万円-1,000万円)×3%=60万円 以上のように新築なのか中古なのかで計算方法が変わります。 どちらにしても軽減措置を活用すれば通常よりもかなり節税が見込めるため、使用しない手はありません。 一見すると計算式は難しそうに見えるものの、条件に当てはめていくだけなので難しいことはそこまで多くありません。 なお、ここではわかりやすい金額として4,000万円、3,000万円という数字を使用していますが、状況によっては評価額自体が1,000万円前後となることもあります。 実際に軽減措置の方が大きくなり、不動産がマイナス評価となるケースもあります。 マイナス評価となった場合は不動産取得税がかからないので、その点も加味して考えておきましょう。 ただし、税金についてわからないことがある場合は専門家である税理士に相談するのも良いでしょう。 税理士に相談すれば最も節税効果の見込める方法を見出してくれます。 もちろん、自身で熟知しておくことでより有利に不動産取得税の支払いを進められるので、詳しい情報を少しでも頭に入れておくと心強いです。 どうすれば軽減が受けられる? 不動産取得税の特例を適用するためには、自身にて申告しなければなりません。 税金に関しては税務署への申告が必要で、申し出ない場合は税務署も対応してくれません。 基本的に税務署は軽減措置などを用意しているものの、自身で申告しない人に対して「このような軽減措置がありますよ」と案内することも稀です。 だからこそ、自らの手で申告すると覚えておきましょう。 原則として不動産を取得後、入居して数ヶ月もすれば納税通知書が送付されてきます。 しかし、申告をしていないと軽減措置が適用されていない課税額となってしまいます。 これらの申告を忘れてしまうと数万円~数十万円の差が生まれてしまうでしょう。 そのため、不動産を取得した際は必ず都道府県ごとの税務署に申告しましょう。 これらの申告は都道府県ごとに申告期限が決められているので、詳しくはご自身が居住する自治体に確認してみてください。 ちなみに、状況によっては申告期限を過ぎてしまっても、手続きさえすれば軽減措置を受けられます。 ただし、それでも厳しい自治体によっては認められない場合もあるかもしれません。 だからこそ、不動産取得税の軽減措置に関しては、早目に申告しておくと安心です。 まとめ 不動産取得税とは、土地や建物、オフィスや店舗を取得した際にかかる税金です。 不動産取得税は、それぞれの評価額に対して標準税率4%で計算可能です。 しかし、軽減措置が用意されており、居住用などの物件であれば標準税率が3%に引き下げられます。 さらに、新築住宅であれば1,200~1,300万円、中古住宅であれば100~1,200万円の軽減措置も受けられます。 軽減措置の特例を活用すれば、不動産取得税も怖くありません。 まずはそれぞれの計算方法と軽減方法を知っておき、損をしないようにきちんと申告しましょう。 不動産取得税は入居してから納税通知書が送られてくるので、その申告期限までに手続きを済ませておくのが鉄則です。