家づくりコラム
資金(ローン)について
2022.07.05
#nagomi
住宅を取得する際、頭金が絶対必要かどうかを気にしている方も多いのではないでしょうか。
土地を購入して建物を建築するとなると数百万円単位、数千万円単位でお金が必要となります。
それらをすべて現金で用意できる方はあまりいないため、多くの方は住宅ローンを組むという選択肢を選びます。
しかし、それら住宅ローンの負担を少しでも減らしたいということなら、頭金を用意しておくのがおすすめです。
今回の記事ではそれら頭金として準備すべき金額目安はもちろん、貯金しておくメリット・デメリットについても解説します。
頭金がなくてもそこまで問題はないものの、やはりあった方が安心なので、余力がある方は今からでも備えられるよう、計画を進めておきましょう。
夢のマイホームを手に入れる時、多くの方は住宅ローンを組みます。
住宅ローンとは金融機関から融資を受けることなので、返済することが前提となります。
あらかじめ貯金しておけば、それを頭金として活用可能です。
頭金というのは自己資金として支払う分のことで、頭金を多く用意すればするほど住宅ローンの負担も減ります。
また、家を取得する際は単に着工金や中間金や竣工金だけではなく、税金や手数料などもかかります。
これらの諸費用は原則現金で払うものとされ、それらの観点からも現金で貯金しておくことが必要です。
もちろん、頭金がなくとも住宅ローンは組めるのですが、頭金があることによって享受できるメリットもあります。
だからこそ、貯蓄や投資をする余裕があれば、頭金に回すということも考えておくことがおすすめです。
では、頭金はどれくらい準備しておくのが良いのでしょうか。
これに関しては人によって取得予定の住宅が異なるため、厳密な数字では表現が難しいです。
しかし、世間一般では「1~2割」を備えておくべきだといわれています。
つまり、住宅ローンを3,000万円ほど融資してもらうということなら、300~600万円はあった方が良いということです。
しかし、人によって頭金の目安というのは変わってきます。
仮に年収が低く今後も上がりそうにない方の場合、頭金を少しでも多く用意して住宅ローンの返済額を下げるのが理想といえます。
逆に年収が高く今後も下がることがない方は、頭金が少なくても問題はありません。
実際に頭金が200万円未満という方も少なくありませんし、逆に200~600万円という方も少なくありません。
欲をいえば600~1,000万円ほどは貯金しておきたいのですが、若い夫婦の場合現実的ではないでしょう。
なかには1,000~1,500万円以上も用意している方がいるのですが、必ずしもそこまで準備すべきとはいいません。
あくまでも頭金は今の生活を壊すことのないように貯めていくのがセオリーです。
無理に貯金に回して普段の生活が回らなくなってしまっては本末転倒です。
目安こそ1~2割といわれているものの、無理のない範囲で貯めましょう。
仮に頭金が0円であっても融資にすべて落ちるということは稀なので、「必要であれば備えておく」という感覚でも十分です。
ただし、頭金があればあるほど住宅ローンの返済総額は減りますし、毎月返済額も減ります。
経済的負担を考慮するなら、頭金はあった方が良いという結論に至るでしょう。
では、具体的に頭金を多く用意するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
基本的に頭金を用意するデメリットはありません。
たくさんの現金があれば選択肢も増えますし、何より住宅ローンを組んでも生活基盤が崩れることもありません。
ただし、具体的な数字で見ないと実感も湧かないので、ここでは頭金を用意することによってどれくらい経済的負担が減るのかという点をまとめます。
仮に借入額4,000万円の場合、頭金を用意していないと毎月返済額は12万523円となります。
逆に頭金を800万円ほど準備できる場合、借入額を3,200万円まで抑えられて毎月返済額も9万6,419円となるわけです。
その差は、実に約2万4,000円以上となる計算です。
返済総額に関しても頭金がない場合は約5,062万円となるものの、頭金が800万円あれば約4,850万円まで抑えられる計算となります。
つまりは頭金が800万円あるだけで、合計約212万円の差が生まれるわけです。
これが1,000万円の頭金となればその効果はより大きくなり、半額の2,000万円まで頭金とすればその効果は計り知れません。
もちろん、これはあくまでも一例に過ぎないのですが、頭金を準備するだけで得られる効果が大きいことはわかっていただけたはずです。
もう1つの例でも見てみましょう。
仮に借入額3,500万円の場合、頭金を100万円用意しておくと借入額は3,400万円となり、毎月返済額が9万5,977円、返済総額が約4,031万円となります。
これを頭金700万円まで準備したとすると借入額は2,800万円となり、毎月返済額が7万9,039円、返済総額が約3,319万円となります。
一見するとそこまで差がないように思えるかもしれませんが、それでも毎月約1万7,000円の差は大きいです。
もちろん、元利均等返済なのか元金均等返済なのかなど、返済方法によっても違いが生まれるものの、合計で見るとその差は歴然といえるでしょう。
近年は低金利時代が長らく続いているので、頭金の効果はそこまで大きくないといわれています。
しかし、それでも住宅ローンは数百万円数千万円という単位で契約するため、少しでも借入額は少なくできるのが理想です。
頭金はただ貯めておけば良いというものではありません。
それこそ普段の生活を削ってまで頭金を捻出する必要はありません。
そのほかにもいくつか知っておきたい注意点があります。
最後にそれら頭金の注意点についてお伝えしましょう。
頭金を支払うタイミングは「契約締結日・融資実行日」となります。
そのため、実際に家を契約すると決めて、引き割らされた時に支払うのが一般的ということです。
しかし、新築住宅の場合はそのケースが多いですが、中古住宅などは申し込みの段階で手始めに10万円ほど現金が必要となることがあります。
これはマンションやアパートでも同様です。
さらに、その後に頭金とは別の手付金を物件価格の0.5~1割ほど支払わなくてはなりません。
つまり、それらも含めて頭金を用意しておかないと間に合わないわけです。
そのため、頭金を支払うタイミングがいつなのかをあらかじめ確認しておく必要があります。
特に詳細を聞いていない場合は、契約する工務店・ハウスメーカー・金融機関に事前に聞いておくと安心です。
ここまで頭金について知ると手持ちの自己資金をすべて頭金にしておいた方が良いと考える人もいるかもしれません。
しかし、それはおすすめできません。
なぜなら住宅の契約時や引き渡し時には税金や手数料がかかるためです。
不動産業者に仲介してもらった場合は仲介手数料がかかりますし、金融機関で住宅ローンを組む場合は借入手数料などもかかります。
そのほかにも印紙税などがかかるため、頭金を用意する際は諸経費も忘れてはなりません。
なかでも税金や手数料は意外と重荷となるので、頭金のほかに1割ほど準備しておくのが安心です。
なかには頭金を用意しなくても良いと考えている方がいるかもしれません。
これに関しては頭金を用意せずとも住宅ローンは組めるので、普通に働いている方であれば問題はないといえるでしょう。
しかし、逆に頭金を準備していないことで想定されるリスクもあります。
まず、頭金をまったく貯めていないと借入額が増えてしまいます。
逆に借入額が高くても頭金があれば低くできるということです。
これは前述の通りなのですが、当初は4,000万円融資してもらう予定であったものの、頭金を1,000万円用意しておけば3,000万円の融資で済みます。
これらは単純に返済総額を減らすことにつながりますし、何より利息の影響も避けられます。
借入額が大きければ大きいほど利息の影響も大きいため、頭金がないとすべての利息を払わなければならない状況になります。
また、仮に住宅ローンの支払いが困難となった場合は金融機関が対象の物件を取得して売却するのですが、それでも住宅ローンが完済できない場合もあります。
そうなった場合、不足分の返済を求められてしまいます。
当然ながら、住宅ローンの支払いが困難な状態で不足分を求められても、対応できない方も多いでしょう。
仮に物件が新築であっても売却するとなると中古の扱いとなるため、8割程度まで価値が下がってしまいます。
頭金がない状態で契約すると、それら不足分の支払いが生じた際に生活そのものが立ち行かなくなってしまうこともあるわけです。
だからこそ、頭金は用意できるのならしっかり準備しておくのがおすすめといえます。
ただし、大切に貯めてきた貯金すべてを頭金に回すのは避けましょう。
あくまでも頭金は余力がある人だけ貯めておくもので、日常を削ってまで貯金するものではありません。
それでも頭金が多いことに越したことはないので、収入と支出について今一度見直しながら計画を立てていきましょう。
頭金は絶対必要とはいえません。
しかし、不要なのかといえば、そうともいえません。
むしろ頭金があることで住宅ローンの返済総額を減らせるだけでなく、毎月返済額も減らせます。
単に借入額が減るため、金利による影響も下げられるのです。
その点も加味して考えると、結論としては頭金を用意しておいた方が良いとなるでしょう。
ただ、いきなり1,000万円も2,000万円も貯金するというのは難しい話なので、夫婦で150~300万円ずつ、合計300~600万円ほどは貯めておいた方が良いでしょう。
借入額に対して1~2割を目安に考えて貯めるところから始めてみましょう。