家づくりコラム
資金(ローン)について
2022.07.14
#nagomi
住宅ローンはただ毎月決まった金額を払っていくというものではありません。
融資を受ける内容によるものの、実は住宅ローンの返済方法には大まかに分けて2種類あります。
1つが元利均等返済で、もう1つが元金均等返済というものです。
この2つはどちらを選んでも良いのですが、選択する返済方法によって返済総額が増減します。
そのほかにも返済が進めば進むほど両者の違いを感じるようになります。
今回の記事ではこれから住宅ローンを契約する方に向けて、元利均等返済と元金均等返済のどちらを選ぶべきなのか解説します。
特に、両者の概要はもちろん、メリット・デメリットについて詳しく説明するので、どちらがお得なのかを考えて選びましょう。
記事の最後には向き不向きもまとめているので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
まずは元利均等返済について知っておきましょう。
ここでは元利均等返済の概要とメリット・デメリットを詳しくまとめます。
元利均等返済がどのような返済方法なのかわからない方は、ぜひ目を通してみてください。
元利均等返済とは、毎月の返済額が一定の返済方法です。
元利、つまりは元金と利息を合わせて均等に返済していく方法です。
そのため、元利均等返済は返済総額に占める元金と利息の割合が徐々に変化する返済方法となります。
では、元利均等返済のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
▼メリット
元利均等返済は毎月の返済額が一定です。
つまり、1年目も10年目も20年目も30年目も同じ返済額を返済していく方法となります。
そのため、将来の家計収支を把握しやすく、着実に住宅ローンの完済に近づいていけます。
途中で繰り上げ返済をすれば返済総額をさらに減らせるため、賞与があった際に繰り上げ返済してしまうのも1つの手です。
▼デメリット
元利均等返済は返済総額が多くなってしまいます。
借り入れる金額によっても違うものの、最終的には数十万円~数百万円ほど変わってくる場合があるわけです。
また、毎月の返済額は変わらない一方、返済総額に占める元金と利息の割合は変化します。
そのため、住宅ローンの返済開始時はローン残高が大きいために利息として支払う割合が大きく、逆に元金の返済の割合が小さくなってしまいます。
その結果、元金の減りが遅くなる点には注意しなければなりません。
次に元金均等返済についても知りましょう。
ここでは元金均等返済の概要とメリット・デメリットを詳しくまとめます。
元金均等返済がどのような返済方法なのかわからない方は、併せて目を通しておきましょう。
元金均等返済とは、元金の返済額が一定の返済方法となります。
元金、つまりは借り入れた金額のみを均等に返済していく方法です。
元金均等返済はローン残高に応じて利息を計算して算出する返済方法となります。
では、元金均等返済のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
▼メリット
元金均等返済は元金の返済額が一定です。
しかし、利息はローン残高によって違うので、返済を経れば経るほどローン残高が減っていきます。
つまり最初に支払う金額は大きくなるものの、元金の減りは早いのが特徴です。
元金が早いうちから減っていくので、自然と返済総額も少なくて済みます。そこが大きな魅力といえるのではないでしょうか。
▼デメリット
元金均等返済は毎月の返済額だけ多くなってしまいます。返済総額自体を減らすには最適な返済方法といえるのですが、借り入れしたばかりの時は経済的負担も大きいです。
そのため、金融機関の多くは審査基準とする年収も高く設定しているのです。
年収が一定以上あれば問題ありませんが、余裕のない年収の場合は審査にも落ちる可能性があります。
特に年収に余裕がないと融資限度額も少なくなる可能性があるので注意しましょう。
ここまで元利均等返済と元金均等返済について知ると「じゃあ結局はどちらがお得なの?」と思う方もいるかもしれません。
これに関しては結論を先にいうと、元金均等返済の方が元利均等返済に比べてお得になります。
実際にいくつかのケースを見るとわかりやすいので、ここからはいくつかの例を挙げます。
仮に金融機関から1,000万円を融資してもらい、それを利息年3%かつ返済回数240回を例に見ていくと以下のような差が出ます。
なお、ここでは賞与による繰り上げ返済はないものとします。
元利均等返済 | 元金均等返済 | |
初回の返済額 | 5万5,459円 | 6万6,666円 |
10年目の返済額 | 〃 | 5万4,270円 |
20年目の返済額 | 〃 | 4万1,770円 |
返済総額 | 約1,331万円 | 約1,301万円 |
この表からもわかるように元利均等返済に比べて元金均等返済の方がお得になることがわかります。
あくまでも条件によって変わるものの、その差は実に約30万円となるわけです。
つまりは返済方法の選び方次第で約30万円もの差がでてくるのです。
これは借入額1,000万円のケースですが、借入額が多くなればなるほどその差も大きくなります。
次に金融機関から3,000万円を融資してもらい、それを利息年2%かつ返済回数420回を例に見ていきましょう。
その場合は以下のような差が出ます。
なお、ここでも賞与などによる繰り上げ返済はないものとします。
元利均等返済 | 元金均等返済 | |
初回の返済額 | 9万9,378円 | 12万1,428円 |
10年目の返済額 | 〃 | 10万7,261円 |
20年目の返済額 | 〃 | 9万2,975円 |
35年目の返済額 | 〃 | 7万1,787円 |
返済総額 | 約4,174万円 | 約4,052万円 |
この表でもわかりますが、やはり元利均等返済より元金均等返済の方がお得になります。
これらは条件によって異なるのですが、その差は実に約122万円となります。
そう考えると返済方法の選び方次第で約120万円という大差が生まれるわけです。
これが借入額4,000~6,000万円となれば、さらに差も膨らんでいきます。
ここまで元利均等返済と元金均等返済を見てきた方の中には「元利均等返済の方が良いのかな」「元金均等返済の方が良いかも」と迷う方もいるかもしれません。
返済総額だけで見てみると元利均等返済よりも元金均等返済の方がお得になるため、多くの方は元金均等返済の方が良いと考えるかもしれません。
しかし、条件によっては元利均等返済の方が向いている方もいます。
そこで、ここでは住宅ローンの返済方法を選ぶ最終局面として、どちらが自分に向いているのかを判断する指標をまとめます。
まずはそれぞれ向いている人と向いていない人をまとめるので、自分にはどちらの方が合っているのかを見極めて選びましょう。
元利均等返済の特徴をおさらいすると、メリットが「毎月の返済額が一定である」「将来の家計収支を把握しやすい」でデメリットが「返済総額が多くなる」「元金の減りが遅い」となります。
そのため、毎月の返済額を一定にしたい方、将来の家計収支を把握したい方に元利均等返済が向いているといえるでしょう。
元利均等返済はローン返済当初の返済額が低いので、安定した返済計画をスタートしたい方におすすめです。
特に妊娠や出産、育児や介護などで当初の返済額を少しでも抑えたい方は元利均等返済を選ぶのも1つの手です。
逆に返済総額が多くなることや元金の減りが遅いことを気にするなら、元利均等返済は向いていません。
ただし、繰り上げ返済できるなら元利均等返済を選ぶのも良いです。
たとえば、毎年のボーナスを返済に充てていけば、返済総額を抑えつつ元金を減らしていけます。
そのため、もし返済に余裕があるということなら繰り上げ返済も加味して計画しましょう。
元金均等返済の特徴をおさらいすると、メリットが「返済総額が少なくなる」「元金の減りが早い」で、デメリットが「毎月の返済額が最初だけ多い」「審査が厳しくなるかもしれない」となります。
そのため、返済総額を少なくしたい方、元金を早く減らしたい方に元金均等返済が向いているといえるでしょう。
元金均等返済はローン返済当初の返済額こそ高いものの元金を早い段階から減らしていけるため、返済計画をすぐにフィニッシュしたい方におすすめです。
当初から資金に余裕がなければ難しいですが、ある程度の返済が見込めるのなら元金均等返済を選びましょう。
逆に、毎月の返済額が最初のうち多いことや審査に通りにくくなることが気になるなら、元金均等返済は向いていません。
特に元金均等返済は当初の返済額が高くなるので、借入額が少なくなってしまいます。
たとえば、仮に金利2%で返済期間35年、毎月返済額10万円の場合、元利均等返済なら3,018万円まで融資してもらえます。
しかし、それが元金均等返済となると2,496万円までしか融資してもらえなくなるのです。
実に500万円近く融資限度額に差が出ます。
それらの点も加味して返済方法を選ぶ必要があるでしょう。
住宅ローンの返済方法には大きく分けて元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
これらはどちらにもメリット・デメリットがあるため、自身が最適だと思う方を選ばなくてはなりません。
単純にお得なのがどちらかという観点なら元利均等返済よりも元金均等返済ということになるのですが、繰り上げ返済できる場合などはむしろ立場が逆転することもあります。
そのため、自身の返済計画に照らし合わせながら最適な返済方法を選ぶことが大切です。