家づくりコラム
資金(ローン)について
2022.07.19
#nagomi
住宅ローンを契約する際、多くの金融機関では団体信用生命保険への加入が必須とされています。
しかし、団体信用生命保険について耳にしたことはあっても、詳しい内容についてはわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では団体信用生命保険とは何かを解説します。
ここでは団体信用生命保険の概要や種類、保障内容、注意すべきポイントや選ぶコツについて説明するので、団体信用生命保険が何かわからない方は、ぜひ最後までお読みください。
なかにはフラット35など団体信用生命保険への加入が必須ではない住宅ローンもありますが、多くの場合は必要となるものなので、ぜひこの記事で理解を深めましょう。
まず団体信用生命保険を知るには、団体信用生命保険がどのような保険なのかを理解していく必要があります。
ここでは団体信用生命保険の概要についてまとめるので、まずは目を通してみてください。
団体信用生命保険とは住宅ローンの契約者本人が死亡もしくは高度障害によって働けなくなった際、保険会社がローン残高を返済してくれる保険をいいます。
つまり、契約者本人に万が一のことがあった時に、残された伴侶や子供を守るための保険なのです。
これら団体信用生命保険は団信ともよばれ、住宅ローンを契約する最低条件とされることもあります。
実際に、多くの金融機関では契約者本人に万が一のことあっても対応できるよう、団体信用生命保険への加入を条件として融資している場合が多いです。
逆に、団体信用生命保険に加入していないと返済する人がいなくなってしまうので、伴侶や子供の経済的負担が増えるだけではなく、返済が滞ることによって金融機関も多額のリスクを背負うことになるのです。
それを避けるために用意されているのが団体信用生命保険です。
団体信用生命保険に加入しておけば、死亡や高度障害によって返済不可能となった場合も家族が路頭に迷うことはありません。
なかにはフラット35など一部例外もあり、人によっては加入の可否を知らずに住宅ローンを申し込む人がいますが、原則としては最低限必要なものとして団体信用生命保険を考えておく必要があります。
団体信用生命保険にはいくつかの種類があり、それら種類によって保障内容が異なります。まずは以下、代表的な団体信用生命保険の種類についてまとめます。
これら団体信用生命保険は加入する種類によってカバーできる範囲が異なります。
たとえば、通常の団体信用生命保険であれば死亡や高度障害だけですが、特約付きの団体信用生命保険を選ぶことで三大疾病や八大疾病までカバーできます。
そのほか、ワイド団信とよばれる団体信用生命保険もあるので、まずは1つひとつ詳細を見ていきましょう。
通常の団体信用生命保険では契約者本人が死亡もしくは高度障害となった際、ローン残高を保険会社が肩代わりしてくれます。
ローン残高の金額にかかわらず肩代わりしてもらえるため、残された家族の負担になることもありません。
近年は基本保障に加えて、がん特約などを付けたものに加入する方もいます。
自分が罹患しそうな病気や怪我を予測しつつ、加入を検討してみましょう。
日本では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の3つが三大疾病とされています。
これらは日本人が罹患する可能性の高い疾患です。
三大疾病特約付きの団体信用生命保険であればこれら三大疾病をカバーでき、万が一「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」に罹患した場合はローン残高がゼロとなります。
日本では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」の三大疾病に加え、「糖尿病・高血圧系疾患・慢性腎不全・肝疾患・慢性膵炎」の5つが五大疾病とされています。
これらも日本人が罹患する可能性の高い疾患です。
八大疾病特約付き団体信用生命保険は「三大疾病+五大疾病」の両方をカバーでき、万が一、該当する疾患に罹患した場合はローン残高がゼロとなります。
例外とはなるものの、団体信用生命保険にはワイド団体信用生命保険というものもあります。
これらはワイド団信とよばれ、健康上の理由で通常の団体信用生命保険に加入できない方でも加入できる団体信用生命保険となっています。
通常の団体信用生命保険は健康状態が良好でない限り加入が許されないことも多く、泣く泣く団体信用生命保険の必要ない住宅ローンを組む方もいるかもしれません。
しかし、ワイド団信であれば条件が緩和されているため、健康上で何か問題がある方でも加入できる可能性があるのです。
団体信用生命保険の加入においては注意すべきポイントもあります。
これらはいくつかあるため、以下で確認しておきましょう。
以上のポイントを見ておくことで、より安心安全に団体信用生命保険を検討できます。
団体信用生命保険は死亡・高度障害の状態となった際に保険金で返済してくれる保険となります。
しかし、団体信用生命保険では保険金が支払われない可能性もあります。
一部の病気や怪我に対しては特約を付ければ対応可能ですが、保険適用の条件はそれぞれ異なります。
死亡であれば確実なものの高度障害も実際に重篤な症状と認められない限りは、保険金が下りないという事態も発生するのです。
単に死亡や高度障害と認められないものの、病気や怪我によって働けなくなった場合は、保険金も下りず働けずという最悪の事態に陥る可能性もあります。
その点は注意が必要です。
団体信用生命保険は誰もが加入できるわけではなく、契約の際に審査があります。
これらはほかの保険と同様、本人の健康状態が重視されます。
当然ながら、すでに何かしらの疾患を抱えている場合、そもそも団体信用生命保険に加入できない可能性があります。
その場合は加入が必須ではないフラット35を利用したり、条件が緩いワイド団信を利用したりと、予防対策はいくつかあります。
しかし、何よりも健康であることが一番なので、その点も気をつけておくべきです。
団体信用生命保険を契約する以前からほかの民間生命保険に加入している方も少なくありません。
その場合、団体信用生命保険と民間生命保険の保障内容が重複してしまうかもしれません。
そうなると二重で保険料を支払わなくてはならないため、経済的負担も多くなります。
そのため、もしすでに民間生命保険に加入している場合は、住宅ローンを組む際に見直しするのがおすすめです。
団体信用生命保険は1つの住宅ローンに対して1つの契約が可能です。
そのため、複数の不動産を所有する方はその都度、加入できます。
つまりは複数の団体信用生命保険に加入できるということです。
一般的な住宅ローンだけならここまで考える必要はないですが、もし、不動産投資も考えているのなら、それらの団体信用生命保険をどうすべきか考える必要があります。
通常の銀行系住宅ローンとフラット35では団体信用生命保険への加入の可否が変わります。
前述の通りなのでそちらは省きますが、要は契約先によって団体信用生命保険に加入すべきかどうかも変わるということです。
これら団体信用生命保険は提供している組織がそもそも異なります。
銀行系住宅ローンは民間金融機関が単体で提供している反面、フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供しているものとなります。
そこが大きな違いとなるでしょう。
では団体信用生命保険から見ると何が違うのかというと、これは条件がそもそも異なります。
銀行系住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が必須とされていることが多いですが、フラット35では団体信用生命保険への加入が必須とはされていません。
そのため、意図的に加入しないという選択もできるわけです。
では、団体信用生命保険を選ぶ際にはどのような点を知っておくべきなのでしょうか。
ここからは団体信用生命保険を選ぶコツについてまとめます。
そもそも団体信用生命保険がどのような保険なのか、その特徴を知ってから選ぶことがとても重要です。
団体信用生命保険は民間生命保険とは異なり、死亡・高度障害に対して保険金が下りる保険です。
しかし、状況によっては保険金が下りないこともあります。
これは民間生命保険と同様と言えます。だからこそ、それぞれの保険の特徴を把握して選ぶべきです。
「団体信用生命保険にさえ加入しておけば完璧」と思っている方ほど危険です。
実際に団体信用生命保険は通常のものだと死亡・高度障害に関する疾患しかカバーされないため、保障範囲はそこまで広くありません。
なかには、特約を付けて初めてカバーできる病気や怪我もあります。
そのため、団体信用生命保険を選ぶ際は特約の有無でも検討しましょう。
それだけでなく、その他のカバーできないリスクも考えて就業不能保険など生命保険とは違う保険への加入も検討することが大切です。
団体信用生命保険は住宅ローンの契約時のみ加入可能です。
特約に関しても加入時に付けることとなります。
そのため、後になってから「加入したい」「特約を付けたい」と思っても手遅れです。
だからこそ加入する時期で選ぶことが重要です。
もし今は必要ないということならフラット35など団体信用生命保険が不要な住宅ローンを契約し、後から民間生命保険に加入するというのも手です。
自分が必要だと思った時期に加入しましょう。
団体信用生命保険と似た保険に収入保障保険というものがあります。
これは死亡もしくは病気や怪我によって住宅ローンの返済が困難となった際、長期間にわたって保険金を分割して受け取れる保険です。
そのため、結論をいえば収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになり得ます。
しかし、団体信用生命保険は契約者本人が死亡・高度障害と認定された際にローン残高を一括返済してくれるのに対して、収入保障保険は分割して受け取るものとなります。
そう考えると両者は性質こそ似ているものの、別物の保険だということです。
ただし、収入保障保険は死亡や高度障害だけではなくそのほかの疾病もカバーできるため、どちらにもメリット・デメリットがあります。
どちらかを代わりとして活用するというより、どちらの方が自分のライフスタイルやライフステージに合っているのかを検討するのがおすすめです。
住宅ローンを契約する際、金融機関では団体信用生命保険への加入が必須です。
これらはフラット35などでは不要となるものの、加入が審査の条件となることも多いです。
そのため、団体信用生命保険の内容について詳しく知っておくことが重要です。
ただし、団体信用生命保険に加入しておけば安心というわけでもないので、特約を含めどのような団体信用生命保険が必要なのかを慎重に検討しましょう。
場合によっては就業不能保険や収入保障保険などへの加入も加味しつつ判断することが大切です。