家づくりコラム
資金(ローン)について
2022.07.19
#nagomi
土地や建物などの不動産を所有しているとかかる税金、それが固定資産税です。
固定資産税は土地や建物だけではなく事業などに使用する償却資産にも課せられるなど、覚えておきたい税金の1つ。
特に、これから不動産を取得しようと考えている方は、どれくらいの固定資産税が必要となるのかを把握しておかなくてはなりません。
今回の記事では、固定資産税がいくらになるのか、その計算方法をわかりやすく解説します。
固定資産税の決定方法だけではなく、納税方法や節税方法についても説明するので「固定資産税がどれくらいかかるのか自分で計算したい」という方や「固定資産税による経済的負担を軽減したい」という方は、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
この記事を読めば、固定資産税を恐れることもなくなります。
ただし、延滞するとリスクもあるので、固定資産税について正しく理解して予防対策を練りましょう。
固定資産税とはその名の通り、固定資産に対して課せられる税金の一種です。
たとえば、家を取得する際は土地を購入して建物を建築することになります。
土地や建物は原則として動かない資産と判断されるため、固定資産税の対象となります。
各市区町村ではそれら不動産を所有する方に対して、税金を徴収しているわけです。
なお、固定資産税は事業などで使用される償却資産にも課せられるのが特徴となっています。
償却資産は会社や企業に導入されているパソコンやコピー機、そのほかの備品などが対象となります。
一般家庭であれば償却資産まで考える必要はありませんが、固定資産税はそれらの償却資産にも課せられることは覚えておきましょう。
では、固定資産税はどのような決定方法を採用しているのでしょうか。
固定資産税は以下の計算式で求められます。
・固定資産税=評価額(課税標準額)×標準税率(1.4%)
以上の計算式に当てはめて計算していくだけなので、実は難しいこともありません。
たとえば、仮に評価額が3,000万円であれば、そこに標準税率の1.4%を掛けて求められます。
つまり、この場合は42万円が固定資産税となるわけです。
しかし、固定資産税は各市区町村によって標準税率も変わることがあります。
地域によっては標準税率が1.5~1.6%となることもあるので、同条件の3,000万円であっても45~48万円となることもあります。
自身が所有している不動産を包括する各市区町村の標準税率を調べておきましょう。
ただし、ここで1つ注意点があります。
それは課税標準額となる評価額が土地と建物によって変わってくるということです。
上ではわかりやすくするために3,000万円で計算しましたが、実際には土地と建物で評価額が異なります。
それらの課税標準額も加味して試算しなくてはなりません。
そのため、以下に土地の評価額と建物の評価額の計算式についても記載しておきます。
・土地の評価額:土地の面積×路線価=土地の評価額
・建物の評価額:評点1点あたりの価額×床面積×再建築費評点×経年減点補正率
以上の計算式によって割り出された課税標準額ごとに計算しなくてはならないため、実際は少し複雑になるかもしれません。
たとえば、土地の評価額が4,000万円で、建物の評価額が2,0000万円のようになることもあるわけです。
当然ながら、これらはどのような地域の土地なのか、どのような構造の建物なのかでも大きく変わります。
そのため、自身が所有する土地と建物にはどれくらいの価値があるのかも併せて知っておく必要があります。
固定資産税には特例も用意されています。
特例は土地と建物ごとに用意されており、うまく活用すれば大きな節税に繋がります。
以下、固定資産税の特例です。
▼土地の特例
・小規模住宅用地:住宅用地200m2以下の部分の課税評価額が1/6
・一般住宅用地:住宅用地200m2を超える部分の課税評価額が1/3
▼建物の特例
・一般住宅:課税床面積120㎡以下の部分の固定資産税が1/2(3年間~5年間)
・長期優良住宅:固定資産税が1/2(5年間)
以上のように土地も建物もそれぞれ特例によって固定資産税を大幅に節約可能です。
それらを踏まえ、仮に小規模住宅用地の土地の評価額が3,000万円、新築の建物の評価額が3,000万円だった場合にどうなるのかを見てみましょう。
・土地の固定資産税:3,000万円×1/6×1.4%=7万円
・建物の固定資産税:3,000万円×1.4%×1/2=21万円
この例の場合だと固定資産税は合計28万円になるわけです。
しかし、ここではわかりやすくするためにどちらも3,000万円で計算していますが、実際には土地と建物でそれぞれ課税標準額が変わります。
そのため、自身が所有する土地と建物の価値がどれくらいなのかも含めて把握してから試算しましょう。
どちらにしても特例を活用すれば税金も大幅に削減できるため、必ず自身の状況に合わせて適用できる特例がないかを確認してから固定資産税を割り出してください。
そうすることで、より固定資産税に惑わされることもなくなります。
次に固定資産税の手続きについて見ていきましょう。
税金といえば税務署に直接出向いて支払わなくてはならないという印象がありますが、固定資産税の納税方法は多種多様です。
以下、その主な手段となるので、自分に合った方法で税金を納めましょう。
1.口座振替による自動決済
2.金融機関・コンビニ窓口での手動決済
3.インターネットバンキングでのペイジー決済
4.クレジットカード決済
自治体によってどのような支払い方法を採用しているかは違うのですが、主に以上の4つの方法があります。
特に、近年はペイジー決済やクレジットカード決済など便利な手段が支持されています。
口座振替や金融機関、コンビニを介して支払うという手段もまだまだ健在です。
これらの方法は特に決まりもないので、自分が一番楽だと思う方法を選びましょう。
なお、固定資産税は一括払いなのか分割払いなのかを選べます。
固定資産税の納税通知書は4~6月頃を目安に送付されてきます。
これらの固定資産税は毎年1月1日時点で課税されるのですが、その都度、一括払いか分割払いかを選択できるのです。
そのため、一括払いはそのまま支払い手続きを進め、分割払いは1~4期分の支払い手続きを進めるかたちで納税できます。
なお、分割の場合は1期分が6月末、2期分が9月末、3期分が12月末、4期分が2月末とそれぞれ定められているので、経済状況などに合わせて選びましょう。
固定資産税は数万円~数十万円単位で支払う必要が出てくるため、人によってはかなりの経済的負担となることも多いです。
しかし、前述の通り固定資産税にはいくつかの特例が認められています。
先に説明した土地や建物に対する評価額の特例などがその一例となります。
そのほかにも以下のような特例が用意されています。
以上の特例を活用すれば、固定資産税を少しでも安く抑えられるでしょう。
土地と建物の特例に関しては条件次第でかなり固定資産税を押さえられますし、耐震改修やバリアフリー改修を考えている方は、それらのリフォーム・リノベーションに合わせて減税措置を受けられます。
さらに新エネルギーに関連する構造を取り入れるということなら、グリーン投資減税も受けられるのです。
そのほか、例外としてどうしても固定資産税を抑えたいのなら、土地や建物の価値自体を下げるという方法もあります。
家を建てる際、都会の土地ではなく田舎の土地にしたり、建物も豪邸にするのではなくリーズナブルな家屋にしたり、もともとの価値が低いものを選ぶことで固定資産税も節約できます。
評価額が高くなり過ぎない不動産選びというのも大切です。
固定資産税は対象物や相場を調べておくことも重要です。
特に、近年では不動産を一括査定してくれるサービスもあるため、それらのWebサイトを活用して不動産の価値を確かめておくのがおすすめです。
不動産の価値は常に変動します。
たとえば、土地は周辺の発展などによって価値が高くなることもあれば、逆に荒廃によって価値が低くなることもあります。
これらは単に評価額だけではなく公示地価・基準地価・路線価・時価などによっても変動するのが特徴です。
また、建物も当初は価値が上がっていたとしても、次第に価値は下がっていくのが普通です。
それもそのはず、建物は経年劣化によって老朽化が進みます。当然、その価値も変わります。
このように固定資産税はそれぞれの不動産の価値に影響されるわけです。
だからこそ、対象物や相場について調べておくことも重要なのです。
中には固定資産税を滞納してしまう人もいます。
固定資産税に限った話ではないのですが、本来支払うべき税金を支払っていないというのは危険です。
税務署は財産を差し押さえる権利を持っているため、悪質な滞納を続けていると土地も建物も差し押さえられてしまいます。
通常、差し押さえとなるまでには猶予もあり、当初は督促状または納付催告書などが送られてきます。
この時点で財産差し押さえとなる可能性はありません。
しかし、そこから10日前後経過した場合、財産を差し押さえられるのです。
これは簡単にいえば、土地も建物も失うことを意味します。
そのため、たかが税金の滞納と思っている方は考えを改める必要があります。
すべて国に奪われてしまわぬよう、賢く節税しながら真面目に納税するのが一番です。
固定資産税は土地や建物など、不動産を所有している方が支払うべき税金です。
もちろん、条件次第では支払う必要がない場合もあるのですが、数千万円単位の価値を持つ不動産を所有している場合は、固定資産税が発生します。
これら固定資産税を滞納すると最悪の場合は財産差し押さえとなる可能性もあるため、まずは納税額を知り、節税なども行いながら支払うのがおすすめです。
特に、これから家を取得する予定の方は、固定資産税についてしっかりと把握しておきましょう。