家づくりコラム
資金(ローン)について
2022.07.19
#nagomi
住宅ローンは人生でも大きな借金となるため、自分の年収でいくらまで借りられるのかを把握しておくことは重要です。
しかし、住宅ローンは限度額まで組めば良いというものではないため、借入可能額と返済目安額を知ることが重要です。
つまり、いくら借りられるかよりも、いくらまでなら問題なく返せるのかを予測して返済計画を立てていかなくてはなりません。
今回の記事では、自分の年収でいくらまで住宅ローンを借りられるのかを解説します。
併せて、無理のない範囲で返済を行うために知っておきたいことも説明します。
これから家を取得する方は、人生で最も大きな買い物となる可能性が高いため、ぜひ返済計画は慎重に立てていくようにしましょう。
まずは自分の年収からおおよその借入可能額を計算する必要があります。
しかし、自分で計算するとなると大変なので、そこはそれぞれ提供されている住宅ローンシミュレーションを活用するのがおすすめです。
たとえば、住宅保証機構などが提供している住宅ローンシミュレーション(https://loan.mamoris.jp/borrowing_income.asp)であれば、以下の6つの項目について計算可能です。
年収からおおよその借入可能額を計算する際は「2.借入可能額の試算」を選択しましょう。
この項目では年収より計算する方法と返済額より計算する方法の2種類があります。
今回は年収から割り出すことを前提としているため、年収より計算する方法を選択します。
そうすると以下の6つの入力欄が出てきます。
これらの項目を埋めていくだけで、簡単に年収ごとの借入可能額を割り出せます。
たとえば、元利均等返済で返済期間35年、当初金利1%、契約者本人の年収400万円、連帯債務者の200万円、返済負担率30%の場合は以下が借入可能額となります。
・借入可能額=5,313万円
日本人の平均といわれている年収400万円であれば、条件次第で約5,000万円前後まで融資を受けられる計算となります。
ただし、契約者本人によってそもそも返済方法は変わりますし、金融機関によって対応している返済期間や当初金利も異なります。
当然ながら、連帯債務者の年収も千差万別です。
借入可能額はあくまでも「借り入れできる限度額」であり、実際に返済できるかどうかは別の問題です。
多くの住宅ローンシミュレーションではこれら限度額による表示となるため、返済計画としては優秀とはいえません。
大切なのは完済できるかどうかなので、住宅ローンシミュレーションを活用しつつも、返済計画はより余裕を持って立てていくことをおすすめします。
次に年収ごとの住宅ローン借入可能額の目安表を見ていきましょう。
こちらは元利均等返済で返済期間35年、金利1.2%、返済負担率30%および35%の場合の目安表としてまとめます。
なお、額面で計算すると返済計画に無理が生じる可能性があるため、こちらでは手取りで計算した際の金額についても併せてまとめます。
年収(額面) | 年収(手取り) | 借入可能額(額面) | 返済目安額(手取り) |
200万円 | 170万円 | 1,714万円 | 971万円 |
300万円 | 230万円 | 2,571万円 | 1,314万円 |
400万円 | 310万円 | 3,428万円 | 1,771万円 |
500万円 | 404万円 | 4,999万円 | 2,308万円 |
600万円 | 460万円 | 5,999万円 | 2,628万円 |
700万円 | 535万円 | 6,999万円 | 3,056万円 |
800万円 | 600万円 | 7,999万円 | 3,428万円 |
900万円 | 630万円 | 8,998万円 | 3,599万円 |
1,000万円 | 720万円 | 9,998万円 | 4,113万円 |
1,500万円 | 1,010万円 | 1億円(貸付上限) | 5,770万円 |
2,000万円 | 1,250万円 | 1億円(貸付上限) | 7,141万円 |
以上の目安表を参考に住宅ローンの返済計画を立てていくと安心です。
ただし、これはあくまでも一例にすぎません。条件は契約者本人によってはもちろん金融機関によっても変わります。
その点は住宅ローンシミュレーションを活用するほか、融資を受けようと考えている金融機関に試算してもらうのもおすすめです。
ちなみに、住宅ローンにおける返済計画は返済負担率が鍵ですすでに前述の通りですが、返済負担率とは年収に対する返済の割合の目安となる利率をいいます。
これらは年収400万円を下回る方が30%、年収400万円を上回る方が35%までと定められています。
極論をいえば、1年につき年収に対して30~35%までであれば融資を受けられるということです。
ただし、借入可能額はあくまで融資を受けられる金額となります。
限度額まで借りるのは現実的ではありませんし、万が一の際にリスクも生じます。
そのため、日本人の平均年収とされる400万円の方であれば、3,428万円まで借りるのではなく1,771万円までに留めておくことが肝要です。
大切なのは返済負担率を軸に考えて、着実に返済を進めていくことです。
できれば返済負担率は30~35%ではなく、20%以下に抑えるようにしましょう。
そうすることで月々の返済額も減り、万が一の際にも生活が破綻する危険を避けられます。
では、住宅ローンを限度額まで借り入れると、どのようなリスクに直面するのでしょうか。
ここからは限度額まで融資を受けた際に考えられるリスクについてまとめます。
住宅ローンは数年、数十年と返済していくものなので、可能であれば将来に備えた準備を進めましょう。
特に、予測不可能な事態に巻き込まれても良いように、予防対策しておくことが重要です。
住宅ローンを組む際は、契約者本人が死亡または障害を負った際、残りの住宅ローンを肩代わりしてくれる団体信用生命保険への加入が求められます。
フラット35では必須とされないものの、金融機関のほとんどは団体信用生命保険への加入を必須条件としています。
そのため、万が一に契約者本人が死亡したり障害を負ったりしても、残された家族が路頭に迷うことはありません。
ただ、団体信用生命保険は契約者本人が死亡や障害を負った際に住宅ローン残高を肩代わりしてくれるものなのですが、必ずしもすべて肩代わりしてくれるとは限りません。
そもそも、団体信用生命保険の適用には条件があり、死亡であれば難なくカバーできるものの障害であればカバーし切れないものもあるわけです。
実際に、高度障害と認められない限りは保険金が下りないこともあります。
そのため、死亡もしくは重篤な病気や怪我をしない限りは保険金も頼りにならないわけです。
限度額まで借り入れると必然的に返済総額も桁違いとなるため、それら将来のリスクに備えなければなりません。
住宅ローンは働いて安定収入があることを前提にした借金となります。
そのため、離職や失職によって返済が滞るというリスクもあります。
当然ながら、仕事がなければ支出が増えていく一方で、お金が入ってくることはありません。
その上で限度額まで借り入れしているとダブルパンチで生活自体が破綻する可能性も見えてきます。
現代は単に体を壊して働けなくなるほか、心を病んで働けなくなる方もいます。
その場合、短くても数ヵ月以上、長いと数年以上も働けない期間ができてしまうわけです。
限度額まで借り入れた場合はそれらの返済が重荷となり、最悪の場合は延滞を繰り返して差し押さえられる可能性も見えてきます。
近年は共働きの家庭が増えたこともあり、夫婦で住宅ローンを組むという方もいます。
たしかに、お互いに働いているのであれば、住宅ローンの負担も夫婦で折半するのが得策に思えます。
しかし、中には別居や離婚をしてしまう夫婦も少なくありません。
その状態で限度額まで借りていると、夫側にも妻側にも借金だけが残るかたちになってしまいます。
また、どちらかが専業主婦(主夫)だった場合、別れることでどちらか一方に負担がのしかかることもあります。
その場合、支えを失った返済計画は崩壊し、生活の基盤もろとも崩れしまうことがあるわけです。
ここからは無理なく返済するポイントを見ていきましょう。
以下、無理なく返済するために知っておきたい3つのポイントです。
まず重要となるのが返済負担率を20%に抑えることです。
返済負担率は30~35%と定められているものの、これはあくまでも借入可能額であり返済目安額とは別物です。
そのため、年収に対して返済負担率を20%までにできるよう融資を受けるのがポイントとなります。
可能であれば15%ほどに落とすなど、より余裕のある返済計画を立てていきましょう。
就学や就職だけではなく結婚や妊娠、出産や育児、介護や老後など人生は年齢ごとにライフステージが変化していきます。
長い人生では何が起こるかわかりません。
住宅ローンを組む際はそれら予測不可能な事態を想定して考えることが重要です。
生きていれば病気や怪我もしますし、離婚するのはもちろん逆に予定外の子供が生まれたり、両親や祖父母の世話をしなくてはならなくなったりもします。
それらライフステージの変化を想定して考えることもポイントです。
昨今は晩婚化が進み、40代で結婚するという方もいらっしゃいます。
そこから住宅ローンを組むとなると借入時年齢・完済時年齢ともに高くなってしまいます。
完済する頃には80代近くなっているかもしれません。
そうなると返済にも無理が生じるので、できればリタイアする前に完済できるよう計画を立てていくのがポイントです。
住宅ローンは借りられる金額と返せる金額を別物として考えなくてはなりません。
実際に前述した目安表から見てもわかる通り、借入可能額と返済目安額は数百万円~数千万円ほどの差が生まれる場合もあります。
限度額まで融資を受けると万が一に生活が傾いた際、拍車をかけるように住宅ローンが重荷となります。
しかし、逆に無理のない返済計画を立てておけば、予測不可能な事態に陥っても耐えられるかもしれません。
返済負担率を20%まで抑えるなど工夫しましょう。欲をいえば15%前後でとどめておくのが良いです。
どうしてもそれ以上の家を取得したいということなら、頭金を貯金するか、もしくは両親や祖父母から購入資金を援助してもらう方法もあります。
ただし、その場合もリスクがないとはいえないため、あくまでも自分たちが完済できるよう計画を進めていきましょう。
住宅ローンは年収によって借り入れできる限度額が定められています。
それら限度額は1年につき年収の30~35%とされています。
しかし、返済負担率はあくまでも限度額であり、完済できるかどうかはまた別問題です。
できれば、返済負担率を20%以下にまで抑え、不測の事態が発生しても返済できるよう計画を進めていきましょう。
なお、いくらまで借りられるのかは条件次第でも変わるため、契約予定の金融機関に直接相談してみるのもおすすめです。